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723 :名無しの紳士提督:2015/08/30(日) 02 12 31 ID JoLnJDN. 鎮守府慰安労働を書いていた者です 完全に迷走しているため、ひとまず速吸に手伝ってもらって一区切りつけます 微エロ?だと思います、本番はないのでその辺りはご注意を 一応、本編というか一番メインの世界線ということでお願いします 724 :鎮守府慰安労働 速吸編:2015/08/30(日) 02 13 02 ID JoLnJDN. 新たな特別侵攻作戦が終了してから数日が経った。 例のごとく、東が所属している鎮守府は全鎮守府中最速で作戦海域を突破している。 提督の戦場を見極める眼力と、異常なまでに高い艦娘たちの練度がそれを可能にしたのだ。 そこまで考えたところで、思わず東は照れ臭いような恥ずかしさを覚える。 「……間宮さんの補給が有限だからって、何で俺があんなことを」 「仕方ないじゃないですか。提督はそれが一番だと思ったわけですから」 「独り言を拾うのは感心しないぞ、明石」 「ふふ、工廠は私の庭ですゆえに」 独りごちた言葉を明石に拾われ、バツが悪そうに東は頭をかくしかなかった。 練度の高さ、提督の眼力だけでは前線を切り開くまでには至らない。 艦娘の繊維を高く保つのも侵攻作戦を成功させうる、一つの妙だった。 しかし間宮の補給は貴重であり、乱用できるものではないのも事実。 提督は補給源となりうる存在として、慰安夫“東”に目を付けた。 理由は調査中とのことだが、艦娘の戦意を高めるには東の存在は艦娘に不可欠である。 そう考えた提督は、戦意のために東を艦娘たちに貸し出す方法を思いついたのだ。 「特別侵攻作戦の時には誰しも忙しくなりますが、東さんはベクトル違いですしね」 「よしてくれ。色々と大変だったんだ」 「引く手あまたでしたからね。いや、モテる男は辛いですね~」 「明石!」 「冗談ですよ、冗談」 からかいながら明石は踵を返し、工廠の中へと戻っていく。 気恥ずかしいのも無理はない。 東は文字通り慰安夫のように、戦場に赴く艦娘たちと男と女の関係を繰り返していた。 全部が全部そうではないが、中には複数人を同時に相手にするケースもある。 街に出て遊ぶこともあったが、多くは“そういうこと”だったといえる。 ふと空を見上げれば星が顔を出している。 「帰るかな。明石ー、お前はいつまで工廠にいるんだー?」 「キリがついたら帰りまーす! お先にどうぞー!」 「それでキリよく帰ってきたことないが、まぁいいか」 それだけ言い残し、東は工廠を離れて自分の部屋へと戻っていく。 特別侵攻作戦に一役買ったということで、今では割り当てられた部屋も変わった。 以前は軽巡洋艦寮の近くだったが、今では重巡洋艦の寮の近くになっている。 部屋の内装もよくなり、ちょっとした軍の尉官にも匹敵するほど。 無論、提督が残してきた戦果による後押しも大きかった。 「東、今日はもうお休みかい?」 「あぁ、提督。お疲れ様です」 そこへ提督が通りかかった。 背丈だけなら軽巡洋艦の艦娘たちと変わらないくらいだが、提督としての能力は絶大。 提督と言う名を持つ者の中では一人として知らぬ者はいない。 しかしそんな面影はどこにもなく、駆逐艦が着るような可愛らしい寝巻に身を包んでいる。 欠伸まじりに歩いてくる姿からは疲れも感じられた。 「随分お疲れのようですね」 「まーねー。新人の子の部屋の手配で忙しかったからさ~」 「そういえばまだ部屋は用意できてないんでしたっけ」 「そーよ。速吸は羽黒がいないから、ひとまず妙高型の部屋で今夜はお休みさ。リペッチオは潜水艦娘の部屋、それで照月は秋月の部屋などなどってね」 「速吸は妙高型の部屋……ん?」 瞬間、東の脳裏にはつい先ほど見送った遠征部隊の姿がよみがえった。 今夜の遠征は東京急行、鼠輸送任務、通商破壊作戦の三方面へと向かっている。 通商破壊作戦に赴いた重巡洋艦は羽黒と妙高、足柄と那智しかいなかった。 悪寒にも似た嫌な予感が東の背筋に走り、同時にその足は妙高型の部屋に向かう。 足柄と那智が何か悪さをする、などとは東も考えていたわけではなかった。 ただ新人が来るというイベントがあれば、二人がそれを肴に酒を飲もうとすることも考えられる。 そうなれば同室の速吸が酒を回される可能性も決してないとは考えられない。 ましてや速吸はまだ来て間もなく、二人の誘いを断れるとは思えなかった。 重巡洋艦の寮に駆け入り、階段を上がって薄暗い廊下に差し掛かる。 そこで壁にもたれながら、うつむき加減に座っている速吸の姿が目に飛び込んできた。 「速吸!? 大丈夫か!」 「あ、東さん。どうしました、こんな時間に」 「それはこっちのセリフだ。大丈夫か? 酒飲まされたりしてないか?」 「大丈夫です。私は」 速吸がそこで言葉を切り、視線を後方に向けた意図を東は一瞬で読み取った。 私は、ということはおそらく既に足柄と那智辺りが酒盛りを始めているのだろう。 ほのかに漂ってくる酒気に、思わず呆れたような笑みもこぼれるというもの。 侵攻作戦が終わってからというもの、鎮守府全体がお祭り騒ぎである。 速吸だけではなく、時を同じくして参戦した艦娘たちも歓迎会に駆り出されていた。 中には自分たちが騒ぎたいだけのように思える者たちもいないわけではない。 「ふふふ、みなさんいい人たちですよ。毎晩のことですけど、楽しそうです」 「そうだな……ってあれ、もしかして声に出てたか?」 「顔がそう言ってます」 スカートを叩きながら立ち上がる速吸の言葉に、東も渋い顔をするしかない。 瞬間、速吸の視線がどこか控えめに見上げてくるのを東は感じた。 元々身長差がそうあるわけではないが、どこか遠慮がちな視線である。 何か頼み事でもあるのだろうか。 「何かあったか? 俺でよければ聞くぞ?」 「あ、いえ、私は別に、何にも……」 「遠慮するな。伊達に慰安夫してるわけじゃないんだぜ?」 「じゃ、じゃあ、その、ひとつだけ、その、ひとつだけ!」 目は口程に物を言うというが、速吸の顔はどんどん赤くなっていく。 そんな状態で言いたいことが分からないほど、東は鈍いわけではない。 ましてや慰安夫として働いていれば、そういうことだろうという察しはつく。 顔から火が出そうなほど真っ赤になり、ようやく速吸は口を開いた。 「東さん! あの、その、ちゅーってしたことありますか!?」 「……酒は飲まされていないが、変なことは吹き込まれたようだな」 「だ、だってちゅーですよ!? 男性と女性との、ちゅ、ちゅー!」 「おう、恥ずかしいのは分かったから連呼するんじゃない。な?」 慌てふためく速吸をなだめながら、東自身も抑えきれない感覚を覚えていた。 口にするのも恥ずかしい単語を口にしながら、顔を真っ赤にしている少女。 普段控えめにもかかわらず、距離がなくなりそうなほど詰め寄ってくる少女。 どこかしら新鮮さすら覚えてはいたが、そうも言っていられない。 二人がいる場所は重巡洋艦の寮の廊下のど真ん中だった。 それも最寄りの部屋は足柄がいる妙高型の部屋、おまけに酔っ払いが二人と来ている。 状況の悪さは折り紙付きで、このまま騒がせておくわけにはいかなかった。 「速吸。落ち着いて俺の話を聞け、というか頼むから落ち着いて聞いてくれ」 「聞きます! じゃあ聞きますから――」 「聞きますから、何だ?」 聞き返すが早いか、身を屈めた速吸が東の腕をすり抜けるようにしてもぐりこむ。 そして顔は真っ赤な顔で、今まで以上に恥ずかしそうな表情で身を跳ねあげながら言い放った。 「私とちゅー、してください」 「本当に酒は入ってないんだろうな?」 「入ってません! ちゅーしてくれたら、落ち着きますからぁ……」 「そんな目で見つめるんじゃない、全く」 切なげな声、縋り付くような視線を速吸に送られては東も無下には断れなかった。 こなれたように口にしている自分に、嫌気が差さずにはいられない。 例え仕事の積み重ねであったとしても、軽々しく行ってはいけない行為だと思っていた。 だが目の前で子犬のようにせがんでくる速吸を前にしては、そんな思いも無意味。 「一回だけだからな?」 「は、はい! じゃ、じゃあ! よろしくお願いします!」 速吸が満面の笑みを見せた瞬間、東は身体の自由が利かなくなったのを感じた。 同時に速吸の黒い瞳が覗きこめそうなほど顔が近付く。 身を引くことすら適わず、それどころか引き寄せられるのすら感じた。 正面から脇を抱きかかえられていることに気が付いたのは、その後のことである。 「東さん……」 「速吸。胸が当たってるんだが、その辺りは大丈夫か?」 「いいです、いいですから、はい、んっ……」 「お、おう」 重巡洋艦というほど大きくはなく、軽巡洋艦というほど小さくもない。 ただ今までにないジャージ越しに押し付けられるという、速吸だけの特徴的な感覚。 慰安夫として長く働いてきたものの、初めての感覚は戸惑いつつも心地良い。 抱きかかえられ、下がれないというマイナスな状態が扇情的に東を駆り立てていた。 慰安夫として鎮守府で働いてきた東は、今までに何人もの艦娘と関係を持っている。 どれも戦意高揚のためであり、事実、艦娘たちが上げてきた功績はかなりのものがあった。 好意を持って接してくれた者たちも多かったが、どこか戦意のためにという艦娘もゼロではない。 東としてもそういうものだと思っていたし、悪い事とは思ってもいなかった。 しかし今、目の前で唇を重ねている速吸はそのどちらにも分類できない。 「んっ、ふぁ、あずま、ひゃん、ひもひいい、れふぅ」 東を抱きかかえ、必死に唇を求めてくる速吸の姿は一生懸命の一言。 決して上手いわけではないのに、次々と唇を求める姿はなんとも愛らしい。 その姿に男として惹かれないわけがなく、東の一物は屹立しかけていた。 「さてと、一回って約束だったな。これで終わりだ」 「ふぇ? あ、そんなぁ、もう少し、もう少しだけお願いします」 「ダメだ。どうしてもっていうなら慰安夫としての俺に依頼するんだな」 「え、あ、う~……」 むくれたように声をこぼす速吸を背に、東は出来る限り余裕を振りまいてその場を去った。 否、もはや余裕など欠片ほどしかない。 声をこぼした速吸の唇がぬめり気を帯び、あやしく月明かりに映えていたのを東は見ていた。 あと数秒遅ければ求める側が逆転しかけていたかもしれないと考えると、やるせない気分になる。 しかし重巡洋艦の寮の廊下である以上、続けるにはあまりにもリスクが高すぎる。 東は自分の選択が間違っていないことを確信しながら、自分の部屋に戻るのだった。 729 :鎮守府慰安労働 速吸編:2015/08/30(日) 02 15 58 ID JoLnJDN. 以上です。 次の話で鎮守府慰安労働には一区切りつけます 散々迷走してしまったので、では
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710 :名無しの紳士提督:2014/10/12(日) 21 10 54 ID JFB..AQ6 媚薬が必要な場合を考えて見る 「やっぱり、初めては提督から求めて頂きたいので……」 誘い受け希望な場合 「逃げられないって言ったでしょ? 全部出しちゃいましょう、子種」 浮気と勘違いされた場合 「姉様を正気に戻すため……、提督に執心するなんて姉様がおかしくなった……、だから、気づかせないと……」 ただのメンヘラ 「なんでや、なんで起たへんのや。おかしいやろ、ウチ、こないアピールしとるのに、なぁ、なんでや? せや疲れてるんやろ、明日は任せとき、ウチが全部片付けたるさかい。やから、やから、明後日になったら一つになれるって、愛してくれるって約束してや。 なぁお願いや、やないとウチ、おかしくなってしまいそうなんや。胸の奥でコレはなんて呼ぶんやろ。 分からへん。分からへんのや。抱きしめて、口づけ交わしてしたら、そしたら良くなると思うんや。やから、」 提督が巨乳じゃないとダメだった場合 738 :名無しの紳士提督:2014/10/14(火) 01 08 53 ID X9ykHr/c 710 何や巨乳じゃないとあかんてか せやけどな、今でこそ当たり前のように使われる「巨乳」やけどな 最初に使われたんは昭和59年の米ポルノ映画「マシュマロ・ウェーブ/巨乳」って言われとるんやわ で 「巨乳」が更に一般レベルで定着したのは平成10年、松坂季実子の胸を巨乳と表現したのがキッカケや つまりは、や、巨乳っちゅうのは現代社会に定着して10~20年程度のもの 爆乳、美乳、貧乳、微乳、虚乳等が生まれたんはさらに後や だいたい昔は「乳」といえば牛乳とかの液体を指したんやで?それが今や乳房の大小を指すものとなってるだけなんやな、因みに余裕のない時に牛乳が戦闘糧食替わりに配給されることもあったんやで、水分はとれるし多少は腹も膨らむしな。 ともかくや、ええか!つまりは大戦当時そのような言葉は存在しておらんし、うちは意味もわからんということを踏まえた上で提督にはうちに接してもらいたいんや なんやまだ何か言いたいんか え?なに「ボイン」が自分の艦隊と世間とで二重に死語になってるんが悲しいやって、ええかげんにせなしばくでホンマ 739 :名無しの紳士提督:2014/10/14(火) 02 40 13 ID gbZvhK/2 なんだかんだ龍驤ちゃんは愛されてるなあ 740 :名無しの紳士提督:2014/10/14(火) 05 58 58 ID 9mTeDkfU おっきいのがボインなら―、ちっちゃいのはコインやでー。もっとちっちゃいのはナインやでー。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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提督×鳥海1-847避「はかりしれるもの、はかりしれないもの」 の続き 『これは私の計算ミス……ごめんなさい…………』 「…っ!?」 俺は飛び起きた。見たくもない悪夢を見たからだ。俺の心臓は激しく鼓動していた。 最愛の妻が海の底に沈んでしまう……そうなってしまえば俺は朝の選択を後悔するだろう。 今日11月3日は俺の誕生日。本当なら愛する妻と息子と一緒に穏やかな日を過ごすはずだった。 だが妻の非凡な力ゆえにそれは許されなかった。 俺の妻は第二次世界大戦で名を残した伝説の重巡洋艦鳥海の魂を受け継ぎ、その力を持つ艦娘である。 そんな彼女はこの鎮守府で一番指揮能力があったため、今日行われる作戦を遂行する艦隊の旗艦として推薦された。 本来なら別の鎮守府の中将の艦娘が旗艦となるはずだったが、 予期せぬ事故により不可能になった為急遽彼女に白羽の矢が立った。 俺は大佐だったが指揮艦娘の選択権は俺に委ねられた為、鳥海ではなく他の艦娘を旗艦にするということも出来たのだが、 俺の私情で最大戦力を運用しないわけにはいかない。俺は補佐に摩耶を付けると指示し、鳥海に出撃命令を出した。 珍しく鳥海は…妻は不満を口にした。 よりによってどうして今日なのですか、仕事ばかりではなくもう少し自分の事も考えたらどうですか、と。 俺の立場や気持ちも十分理解している上での事とは承知していたが、 それでも不満をあらわにしていた彼女に申し訳ない気持ちになった。 「提督…………起きてらしたのですか?仮眠の邪魔をしてしまったみたいで申し訳ありませんでした……」 鳳翔が赤ん坊を抱きながら俺に声をかけた。鳳翔には鳥海が任務中の時に俺の息子の世話を任せていた。 「ごめんなさい…この子、珍しく泣き止まないんです。 おっぱいが欲しいわけでも、おむつを変えなきゃいけないわけでもないみたいで……」 俺は鳳翔から息子を受け取った。それでもすぐには泣き止まなかったが、 父親に抱かれた安心感からかじきに泣き止んだ。 「申し訳ありません、この子を上手にあやせなくて提督の邪魔をしてしまって…」 「いや、そんなことはない。俺が起きたのは嫌な夢を見てしまったからだ。 それで考え事をしていて、鳳翔に声をかけられるまでこの子が泣いている事に気がつかなかった」 ふと時計を見たら昼の2時の少し前だった。それはちょうど俺がこの世に生まれた時間でもあった。 「そうですか…でもなんでいつも大人しいこの子が泣いて…………まさか!?」 「…いや、滅多な事は考えるな。彼女を信じるんだ……」 その言葉は鳳翔にではなく自分自身に言い聞かせるように言ったのかもしれなかった…… 眠気が消えた俺は落ち着いた息子を再び鳳翔に預け、仕事をまた始めたが、あまり身が入らなかった。 文化の日なのに雨が降っていたことや、さっき悪夢を見たせいというのもあるが、 朝妻と喧嘩してしまったことが俺の心の中に残っていた。 俺はかつて初恋の女性に対し軽い気持ちで悪口を言ってしまった。そのため仲違いをしてしまった。 俺は本当に軽い気持ちでまたいつもみたいな関係に戻れるだろうと思って謝ることをしなかった。 それが古くから…物心付いた時から10年以上も結び続けていた絆を断ち切ることになってしまったのだ。 そして人生の岐路、卒業式くらいは仲良くと思っていたがそんなことにはならず、 喧嘩別れをし、大人になって再会してもあの頃のように戻ることはなかった。 俺が謝りたいと思ってもその子と連絡が取れず、とうとう謝ってもどうにもならないことになってしまった。 俺は後悔した。そして同じ過ちは繰り返さないと誓った。 妻と付き合う前、一度すれ違いがあったが、俺はすぐに謝り、気持ちを伝え、そして二人の想いが通じ合って結婚した。 だがまた同じ過ちを繰り返した。そして今度は謝ることさえも出来ないようなことに… いや!そんなわけない!そんなわけあるものか!! 「艦隊が戻ってきました」 艦隊が帰ってきたか……妻は…鳥海達は無事だろうか…… 大破したら絶対に進軍するな、必ず戻れ、といつも言い聞かせてあるから大丈夫とは思うが 今回は大事な作戦だから無茶するかもしれないという不安はある。 今まではそんなことなく大破したらすぐに帰ってきていたが…… とにかく迎えに行こう。それで全てがわかる。俺は足早に迎えに行った。 「ッ…………」 俺は言葉が出なかった。雨に打たれた鳥海があまりにも見るに堪えない姿だったからだ。 他の艦娘達もボロボロだったが、それは精々艦装や衣服程度であり、肉体へのダメージは一切なかった。 しかし鳥海は艦装どころか肉体もかなり傷付いていた。 大きな怪我こそなかったものの所々痣や出血があったり、口からも血が流れていた。 その姿はとても痛々しいものであり、艦娘も他の人間と何ら変わりない存在だという事実を突き付けた。 「ごめんなさい…私がちゃんと鳥海の整備をしていれば……今日は出撃しないと思って後回しにしたばかりに……ッ!」 「いや…あたしがもっと空に気をつけていたら…………」 「私のせいよ……だって私は足が遅いから…そんな私を鳥海が……ううっ………」 「やめて、みんな…これは…全て私の…ミスが原因なの……だから………」 明石が、摩耶が、飛鷹が、そして鳥海自身がこうなってしまった原因は自分にあると言う。 だが誰か一人だけが原因というわけではない。 みんなのちょっとした行動全てが悪い方向に重なり合ってこんな事になったのだ。 そして俺もその中のひとつだった。俺が鳥海を出撃させなければそもそもこうはならなかったのだから。 だから誰かを責めることなんて出来ない。本当なら自分の間違いを認めたくないがために責めたいくらいなのに。 でも………… 「帰ってきてくれてありがとう……ごめんな……」 俺は傷付いた最愛の人を優しく抱きしめ、謝った。 最悪の結果という悪夢を見てしまった俺には愛する人が無事生きて帰ってきて、 もう一度謝ることが出来るというだけで怒りも何もかもなくなっていった。 「……うぅ……私こそ…ごめんなさい…………」 彼女は堪え切れなくなったのか、とうとう泣き出してしまった。 「私……怖かったの……大好きなあなたと喧嘩して…それで謝ることも… 仲直りすることも出来ないまま死んじゃうかもしれないことが……」 いつもの丁寧な口調ではなく、まるで普通の少女のような口調だった。 俺と付き合い、結婚してから感情が高ぶると俺の前ではこんな面も見せるようになっていた。 俺と交わることによって変わったのではなく、鳥海の名を背負う艦娘として自分を抑えていたのかもしれない。 値が真面目な彼女だから鳥海であろうとして本当の自分をさらけ出すことが出来なかったのだろう。 「いいんだ…みんな生きて帰ってきてくれたんだから……だから…泣くな……」 そう言った俺も自然と涙を流していた。自分がこの世に生まれた時間に大切な人がこの世を去ることが避けられたからだ。 周りからも鼻を啜る音や仲直りできてよかったという声が聞こえた。気が付くとみんな涙を流していたのだった。 そして雨もいつの間にか止んでいた。俺達を照らす太陽の光はとても暖かかった。 このポカポカ陽気はもしかしたらあの時と同じだったのかもしれない。俺がこの世に産まれたあの日みたいに…… 「さあ、素敵なパーティーしましょ!」 夕方5時、鎮守府屋上でパーティーが開かれた。俺の誕生日を祝うのではない。今日の作戦の成功を記念してのものだ。 ただ今回の作戦の責任者である中将が俺の誕生日を結果的に潰した上に、 俺の妻を傷付かせてしまった責任も感じたのかもしれない。 だからなのか作戦成功のパーティーにしてはいささか派手過ぎるものとなっていた。 「不幸だわ…みんなから誕生日を祝ってもらえないなんて……」 そう言ったのは山城だった。山城も俺と同じ11月3日生まれであった。 戦艦山城の進水式も11月3日であったため、彼女は戦艦山城の艦娘となる運命だったのかもしれない。 「仕方ないさ、祝日だしな。まあ文化の日が11月3日から変わることはないだろうな。 11月3日は明治天皇の誕生日で、かつては天長節、今で言う天皇誕生日で祝日だったからな。 時代が大正になり11月3日は祝日ではなくなったけど、昭和に入り明治節として再び祝日となって、 そして戦後、日本国憲法公布と同時に文化の日として定められたんだよな。 表向きの趣旨としては明治天皇とは一見無関係であるけど、明治天皇の功績を讃え、 それを思い起こせるよう11月3日に日本国憲法が公布されたというのが正しいのかもしれないな」 「え、ええ……」 若干引き気味の山城。俺はわりと自慢癖があるのが欠点かもしれない。 まあ辞世の句が『な なにをする きさまらー!』となるようなことはないだろう、きっと。 「まあ文化の日で祝日だから友達とかと会うことなんて特別に予定を入れなかったらないわけだしな。 でも俺はあまり不幸とは思わないぞ。家族と一緒にいられたわけだしな。 いつも仕事していた父親も祝日だったら休みだったし、 今にして思えば友達に祝ってもらえなかったけど遠くの街に行けたりして幸せだったのかもな」 「でも私には扶桑姉様しかいなかった……」 そう、彼女と、彼女の実姉の扶桑は親を病気で失ったのだった。彼女達の物心がつく前に。 そして彼女達は親戚のツテで鎮守府に引き取られ、検査の結果それぞれが扶桑型の戦艦になれると判明した。 艦娘となった彼女達であったが、艦娘への適性があったことがある種の不幸だったのかもしれない。 もし艦娘への適性がなければどこか平凡な家庭に引き取られて、 そこで義理とはいえ暖かい家族というものに触れ、 今とは違う生き方をして幸せになっていたかもしれない。 「みんなから祝ってもらったりしたいか?」 「ええ…でも祝勝会を私の誕生日を祝うことに使うなんて…」 「だったら別の形でもいいから祝ってもらえ。お前は今回の作戦で一番大活躍したのだからな」 「でも…」 「みんな、今回の作戦は山城のおかげで成功したんだ。だからみんなで山城を讃えようじゃないか」 「そうね……そういえば山城、今日はあなたの誕生日だったわね。 あなたのおかげで今回の作戦は成功したけど、もしあなたが生まれてなかったら作戦は失敗していたかもしれないわ。 だから私達みんながあなたの活躍を讃え、誕生日を祝ってあげるわね」 「賛成だね。山城だって、たまにはこんな時があってもいいさ」 後でそれとなく山城の誕生日の事を言おうと思ったが、 扶桑が気を利かせてくれたからこちらの手間が省けた。 俺の誕生日のことはスルーっぽかったが俺は別にどうでもよかった。 それよりも俺にはたった一人、祝ってほしい人がいたから。 祝勝会が終わったのは夜の10時だった。俺は、医務室で治療を受けていたため祝勝会不参加だった妻と共に家に帰った。 彼女は命には別状はなかったものの、傷や痣だらけだったから跡が残らないかと心配になったが、 鎮守府には艦娘のために様々な分野の優れた医師や薬剤師が常駐しているので、 彼女の傷や痣は治療によって完全になくなるだろう。 しばらくは通院が必要らしいから今日のところは防水用の特殊な絆創膏や湿布を貼っていた。 「こうして二人きりでお風呂に入るのも久しぶりですね」 「そうだな。こうして背中を流すのも随分久しぶりだ」 帰った俺達は早速風呂に入っていた。今までは風呂に入る時はほとんど一緒に入っていたが、 それはまだ小さい息子と一緒だったのであり、今日二人きりで入るのは本当に久しぶりだった。 息子は鳳翔が預かってくれていた。摩耶は今の精神状態を考えて不安だったからだ。 「……いつもごめんな。危険な場所に出撃ばかりさせて…今日だってこんなに…」 「いいのですよ、私の力がみんなの役に立っているんですから…… ねえ…満月じゃありませんでしたけど、月も綺麗でしたから久しぶりにしましょう。最近ご無沙汰でしたし」 「け、けどさ…そんな体で…」 「あなただっておちんちん、腫れているじゃない」 彼女はそう言って振り返り、大きく硬くなった俺のちんちんの皮を剥き、たわわに実った豊かなおっぱいで挟んだ。 彼女とはゴム付きでのセックスが大半とはいえ幾度もしていたものの、包茎だった俺には刺激が強かった。 包茎だったが剥くことは出来たためいつも綺麗にしていた。 彼女のおっぱいは柔らかく、かつ弾力性があった。 そんなおっぱいで挟まれたり、上下に擦られたりされるのはとても気持ちがいい。 だがされるがままというわけにはいくまい。俺は反撃に出た。 「ひゃあんっ!?」 俺は彼女の乳首をつまんで刺激した。そして彼女が怯んだ隙に彼女の下腹部にある割れ目に指を挿れた。 「ん……あ…んっ………」 感じながらも彼女は俺のちんちんをおっぱいから離そうとはしなかった。 俺はなるべくちんちんがおっぱいから抜けてしまわないよう、ゆっくりと彼女の下腹部に顔が行くように体を動かした。 そしてシックスナインの体勢のような感じになり、そこにあった花びらと豆を舐めた。 「なんだよ、そっちだってクリトリスが腫れているじゃないか」 俺はお返しといわんばかりにそう言った。 「っ……もう……負けないわよ!」 今までの落ち着いた態度から一変。胸だけでなく口や舌も使って刺激してきた。 さっきよりも強い刺激が俺を襲う。俺も負けじと愛撫をしつつ激しく舐めまわした。 互いに譲らず一進一退……とはならなかった。 「も…もう……」 俺は限界に達した。それに反応した彼女は俺のちんちんを口で咥えた。 その刺激が更なる引き金となり、彼女の口の中にぶちまけてしまった。 どぷんっ!どぷん!どぷっ!どくん………… 自分でも感じるくらい濃厚に粘りつくような粘度だった。 それを彼女は何も言わず受け止めていた。 「……ん…………」 長い射精が終わっても尿道に残ったものまで吸い取るような感じで咥え続けていた。 そして全て吸い取ったのか、俺のちんちんについていたものを最後にペロリと舐め取って、それから口を離した。 「ん……………………」 ゴクン…… 彼女は口から離そうとはせず、口の中に吐き出されたものを味わい、飲み込んだ。 「げほっ…………もう…あんなに絡みつくような膿が溜まってたんじゃ、あんなに腫れてもおかしくはなかったわね」 大人のお医者さんごっこのつもりだったのか、彼女はそう言った。 「……さっき出し切ったと思ったのに、まだこんなに大きいなんて…… やっぱりおちんちんを小さくするには…これしかないわね……」 そう言われて気がつくと俺のちんちんはまだ硬かった。そして彼女は寝そべり、脚を開いた。 「ねえ…来て……今日は大丈夫な日だから…」 そう言われるや否や俺はちんちんを突っ込んだ。先程から充分濡れていたからか抵抗らしい抵抗もなくすんなり入った。 「あぐっ…」 「ん…」 さっき出していなければ久しぶりの生での感触であっさりと果てていただろう。 俺はなんとか耐えながら、腰を激しく動かした。そして彼女に口づけをし、激しく舌を絡め合った。 互いに全てを感じながら獣のように激しく貪り尽くし合う内に互いに限界が訪れた。 「んっ…!」 「んーーーーーっ!!」 ビュルルルルッ!ビュルルルッ!ビュルルッ…… 俺は我慢なんてしなかった。一番大事なところで俺の想いを受け止めてほしかったから………… 「私で感じてくれてありがとう……私も気持ち良かったです……」 穏やかな顔だった。本当にそうなんだなと感じられるくらいに。 「今日の出来事を官能小説にしたらどれくらい売れるかしら…」 「おい!?」 「冗談よ。でもね…私、本当は小説家になりたかったの。それも夢のあるような内容の… 小さい頃から色んな空想をしたりしていたの」 俺も知らなかった彼女の夢である。でも彼女は俺と出会う前から日記を毎日書き続けていたみたいだから、 今にして思えば物書きとしての片鱗を感じさせていたのだろう。 「夢を叶えるためには、世界を平和にしなくちゃ」 「そういや鳥海の艦装はどうしたんだ?」 「修理に凄い時間がかかるみたい。高速修復剤も効果がないし…」 「まあ無理はしない方がいい」 「そうよね。だから今は感じていたいの。ずっと触れ合えなかったあなたの暖かさを……」 二人で達した後も繋がったまま風呂に入っていた。互いの温もりを感じ合うためにだ。 ただ繋がっているだけのに、それは互いに快楽を求め合う行為以上に心の中が幸せだった。 互いを隔てるものもなく、一番大切なところで触れ合う。 たったそれだけのことがいかに尊く、愛と幸せを実感できる素晴らしいものか…… 「……最高の誕生日プレゼント、ありがとう……」 俺は感謝した。彼女によって快楽を得たということよりも、 ただ彼女と繋がり、互いの温もりを感じながら同じ時間を一緒にいられる幸せに………… それから約二ヶ月が経った。妻の傷も何もなかったかのように完全に回復した。 年が明けた1月1日、俺は家族三人で俺の故郷に帰省した。 子供を俺の両親に会わせたかったからだ。 夏は大きな作戦があったため帰るに帰れず、今になってやっと帰る暇ができたからである。 「やっとお義父様とお義母様にこの子を会わせられましたね」 「ああ」 「そして、あなたの御祖母様にも……」 俺にとって祖父や祖母の記憶があるのは父方の祖母だけである。母方の祖父は小さい頃に亡くなったからあまり記憶がない。 祖母の墓参りのために線香と花を買いに行ったとき昔の知り合いと出会ったが、俺の妻を見て驚いていた。 お前は未だにあの子のことを引きずっているのか、って感じの目で。 だが俺が彼女を愛した理由にかつて好きだった女の子が関わっているのも事実だし、 その子を好きになったのも俺の母と似ていた(といっても眼鏡をかけていたくらいか)からだろう。 だから俺が妻を好きになった理由に俺にとって大事な女性達が関わっていることは否定しない。 それに俺は単に外見だけで選んだのではなく、彼女の奥ゆかしい内面にも惹かれていたのだった。 それと最近知ったことだが重巡洋艦鳥海は進水日4月5日であり、その艦娘である彼女も同じ誕生日であった。 奇しくもそれは俺の父がこの世に生まれた日でもある。 そして重巡洋艦鳥海が沈んだ10月25日は俺の祖母が亡くなった日でもあった。 『鳥海』は俺の大切な人達の何かと間接的にせよ何かしら関わっている存在であるといえよう。 今の幸せな俺が存在するのは彼らのおかげであり、 そんな彼らの要素がこじつけとはいえ少しでもあった彼女と俺が結ばれたのはもしかしたら運命だったのかもしれない。 「でももうそろそろ帰らないと…」 「そうだな。俺達はこの国を…いや、この世界を守らなきゃならないからな」 「ええ……また三人でここに戻って来たいです。その時は……」 「よし、一日でも早くこの世界を安寧させなきゃな!」 「私は今はまだ戦えませんけど、摩耶達に『鳥海』の優れた点を教え込まないといけませんからね。さあ、やるわよ!」 だが『三人でここに戻って来る』。この願いが叶うことはなかった………… それから更に一ヶ月、あの時から調度三ヶ月後の2月3日、節分の日のことだった。 「恵方巻って太いわよねえ……さあ、いくわよ!」 もはやつっこむのも面倒な如月の言葉と共に俺達の艦隊は恵方巻を恵方に向かいながら無言で食べた。 みんな思い思いに願い事をしながら食べていた。 そしてみんな食べ終わってほんの少し後、異変は起きた。 「うう………ゔゔっ!!」 「!?おい鳥海、しっかりしろ!」 真っ先に摩耶が声をかけた。当然周りはざわめいた。 提督夫人であり、それ以前に大切な仲間である彼女に何かあったら…… それを一番心配したのは飛鷹だった。彼女が恵方巻を作ったからだ。 「今医務室に連絡しましたわ。早く!」 吐瀉物を如月が回収しつつ叫んだ。俺達は全速力で医務室に向かった。 「鳥海は妊娠していたのね。しかも双子……何とも言えないわ…」 「でもよかった…鳥海に何も悪いことはなくて…」 貴重な戦力でもある存在が子を身篭るということにどう反応したらいいのかわからない山城、 自分が作った恵方巻が原因ではなく、ただの悪阻だったことに心から安心した飛鷹。 「でも私の計算では…こんな事…」 彼女は妊娠三ヶ月だった。彼女の計算ではあの日は安全日であり、 しかも毎月の日記から乱れは少しもなかった。 強いて言うならばあの日以来生理の日はなかったものの、あの日の出来事が原因な一時的なものだと決め付けていた。 「でも…なんとなくわからないでもない…あの日激しく傷付き、命の危険すら感じただろう。 その時、種の保存本能が働いて排卵が起こったのかもしれないな。 だが何故起こったのかを今言ってても仕方ないだろう。 授かってしまった以上これからどうするかを考えるしかない。 『鳥海』の艦装の修復は思ったよりもかかっているから、出撃とかはまったく考えなくてもいいだろう」 「あたし、もっと頑張るよ。今まで以上に、鳥海みたいに頭良くなるよ!」 「頑張ってね摩耶……私も頑張るから」 「二人とも、あまり根を詰めすぎちゃダメよ」 「そうなのです!私達もいるのです!」 「だからもーっと私達に頼ってもいいのよ」 摩耶も飛鷹も三ヶ月前と比べて完全に元気になった。 幼かった雷と電も随分頼れるようになった。 他のみんなも大切な仲間のためにやる気満々みたいだ。 「ありがとうみんな。でも時々思うの。私がこのまま艦娘として戦いに出ない日々が続いたら、 私の力が衰えて、いざという時に足手まといになるんじゃないかって…… そう思うとみんなに頼りきりというのも怖いの」 最近妻は普通の女の子みたいな喋り方をするようになった気がする。 鳥海の艦装を着なくなってからこうなった気がする。 初めて妊娠したときは戦場に出ずとも艦装を一日一回は着ていた。 もしかしたら俺達が今まで見てきた彼女の性格には、 鳥海の艦装の影響も少しあったのではないか、と。 あるいは責任感から己を抑えていたのか…… 「心配するなって。鳥海の強さは頭にあるんだ。みんなに鳥海の頭脳が加われば最強さ!」 摩耶は自信満々に言う。俺もそう思うと同意した。 「本当にありがとう……」 妻は涙を流しながら喜んでいた。 「……あの時の願いは叶わなくなっちゃったわね……」 あの時の願い、それは『俺の故郷に三人で戻って来る』ということだった。 でも妻が双子を妊娠したことにより五人でということになってしまった。 「どんな願いだって、願った以上のことになるんだったらそれでいいじゃないか」 「これから大変なことになりそうだけどね。でもあなたがいるから私は頑張れるわ。 だから、これからも一緒に居ましょうね。もし私に困ったことがあったら、 そしてあなたに困ったことがあったら、いつでも二人きりで将来のことについて語り合いましょう」 「ああ!」 俺は力強くうなづいた。二人なら越えられないものはないって俺は心から信じているから。 信じている限り決して何も失うこともないと。 そして俺はどこまでも頑張れる。そう、君がいるから―――― ―完―
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「起きてください、提督……」 暗い意識の奥底から私を引っ張り出したのは、優しく物懐かしいその声と、その主による重みのものだった。 瞼を開けば、愛して止むことのない想い人、鳳翔さんが私に馬乗りになっていたのだ。 「ふふ、もう、提督ったら。 こんなに元気にしちゃって」 うっとりとした声色でそう呟きながら、生理現象でそそり立った男根を優しく撫でるようにさする。 その気持ちよさに心を奪われつつも、鳳翔さんにナニをしているのかと尋ねた。 「あら、おはようございます♪ 今日も朝から元気ですね」 柔らかに微笑むその笑顔はまさに天使のもの。今まで幾度も荒んだ心を、その笑顔が癒してくれた。 鳳翔さんは腰を折ると、そっと口づけてきて、私のかさついた唇を潤すように唾液を含ませながら舌で舐り、張りのあるぷるんぷるんな唇で貪るように食んでくるが、それでもどこか優しさが残っていた。 「ん、ちゅ……ふう、んん……ぢゅる、ちゅぅぅ……っ」 ちうちうと吸うように食いついていた唇がぷるんっと離れると、満足気な、恍惚とした表情でまた近づいてくる。 「すみません、もう、我慢なりません……」 まるでこれからすることをお許し下さいと、許しを乞うような声色で訴えてくる鳳翔さんが愛おしくて堪らなく、今度は私から唇を寄せた。 「は、っ……んん、ん、ちゅ、じゅるっ……む……ん、ふぁ……」 必死に鼻で息をしながら離すまいと唇を押し付け、片手で鳳翔さんの頭を抱いて寄せる。 空いている手では必死に気持ちよくなって欲しいと、乳房を擦り上げ乳首を親指の腹で捏ねくり、親指と人差し指で摘む。 乳首は優しく、触れているだけのような手つきで物足りなさがやっている自分でもわかる程度に。 すると鳳翔さんは乳房を弄っている手を掴むと、自らの秘所へと導いて、唇を離した。 「もう、提督のいぢわる……」 「なんの、こと?」 荒れた呼吸を落ち着かせるように、冷静に息を吐き出していると、とても悲しそうな顔をしてしまった。 どうしてそんな顔をするのか。胸が締め付けるように痛くて、逆に呼吸が荒くなってくる。 「もう、こんなに切なくなってるのに……わかっているんでしょう?」 中指がそこに触れると、指を伝って彼女のとろみのある愛液が垂れてくる感触が、手の甲をつたり、腕にまで垂れるのがわかる。 しとどに濡れそぼっていることを察すると、もういいです。そういうかのような拗ねた顔で手を離された。 鳳翔さんの手が私の胸板に乗せられ、少しそれが重くて苦しい。 そして、折っていた腰も戻すと視界から鳳翔さんが居なくなってしまい、とても寂しい。 「こっちで、愛して頂きますから……」 こっち、と言われそちらに目を向けようにも見慣れた天井しか瞳には映らない。 身体を起こして見ようと思ったときには、既に遅かった。 起こしかけた身体が、全身を駆け抜ける快感によって倒れた。 気持ちよさを感じた瞬間に後頭部に痛みを感じたが、そんなことも些細に感じるほど、股が、ペニスが熱い。 熱くて、きつくない、しかし確かに重量を感じる圧迫感、どんどん染み込んでいくようにずぶずぶと包み込まれていく充足感。 意識がそちらに向いていて夢中だったからか、気がついたら鳳翔さんは仰ぎ、感極まった溜息を零している。 「はぁ、ああ……あぁん……ん、ふぅ……」 やがてペニスの根元まで全てが肉壁に包み込まれると、ようやく鳳翔さんはこちらを向いてくれた。 「全て……入ってしまいました、ね……? うふふ……」 もう手遅れですね?と悪戯な眼差しをこちらに向けながら、布団と背中の間に手を差し込んでくる。 それを感じて身体を起こし、対面座位の姿勢になると、力を込めてかき抱いてきた。 負けじとこちらも抱き返し、ぎゅうう、っと抱き合う。 きっと鳳翔さんも私と同じなんだと思う。一番大事なところが繋がっても、まだ足りない。 むしろ、もっともっとと、渇望してしまう。触れ合えるところ全て触れたいと。 「じゅる、りゅ……ふ、ぁ……んむっぅ……!」 出来る限り肌を重ね合わせると、満足に身体を動かせない態勢でもお互いが気持ちよく感じたいと、腰を振り合う。 一番奥まで突き挿せるようにと、一番奥まで包み込めるようにと。 ただ、ひたすらに腰を振り、それでも唇も腕も放そうとしない。 ぬちゃっ、ずちゅっと、空気と液体だけが出すにしてはとても卑猥でいやらしい音を執務室に木霊させ、快感を共有しあう。 朝日が眩しいのも、鳳翔さんと触れているところ以外が少し肌寒いのも、なにも気にならない。 二人して同じところに感覚を集中して同じことを考えて同じことをしているのがとても気持ちよくて。 抑え切れなくなった、こみ上げる射精感を我慢することもなく鳳翔さんの中にぶちまけた。 急に動きを止めた私を察したのか、唇を離すと豊かで母性の詰まった乳房に顔を埋めてくれた。 その暖かさ、安心感に収まることをまるで知らないかのようにペニスが脈打つ。 その間も鳳翔さんは頭を優しく撫でてくれている。 やがて射精が止まると、乳房から顔を離してくれ、見つめ合える距離まで顔を離す。 「たくさん、出してくれましたね」 それでも頭を撫でることはやめずに、やっぱり優しげな瞳を向けてくれる。 至福ですと言いながらお腹を撫でさするその姿に、確かにこのお腹の中で自分の精子を出したのだと再び実感すると、またペニスに血液が集中していくのがわかる。 「もう、あれだけ出したのに提督ったら……あと一回だけですよ、ね?」 そう言っておでこにちゅ、とキスをくれるとペニスを抜かずにそのまま鳳翔さんは腰をうねるように動かし始めた。
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「第1回、白露型駆逐艦会議を始めたいと思いまーす」 横須賀鎮守府、駆逐艦寮に備えられたやや広い会議用の多目的室。 この中には白露、時雨、夕立、村雨、涼風の5人が集まっていた。 「あのさ、白露。五月雨がいなんだけど?」 集まる用に宣言し、会議の開催を告げた白露に時雨が静かに質問する。 「いいんだよ、この会議はあたいが頼んだ五月雨と提督のための会議なんだ」 時雨の問い掛けには白露ではなく涼風が答える。 「あー、最近あの2人ぎこちないっぽいよね」 「他の皆さんも心配してたし」 夕立や村雨も涼風の答えに頷きながら賛同する。 五月雨はこの艦隊がまだ1人だった頃から提督と戦い抜いた古参であり、 持ち前の健気さや一生懸命物事を頑張る姿は他の艦娘にも好かれ、立派に秘書を務めている。 本人や提督は否定するが、誰がどう見ても恋人としか思えないぐらい2人はお似合いである。 そんな2人がここ数日間どこかぎこちなく、2人とも微妙に噛み合わないらしい。 五月雨はお茶をうっかり零したり、提督は遠征部隊を間違える。 よくある些細なミスではあるが、周りの人間からは何かあったと思わせる違和感があるのである。 「で、何か情報はわかった?」 「赤城さん達が言ってたけど喧嘩したっぽい?」 「金剛さんが言うには倦怠期ネーとか」 「北上さんは難しいよねーだってさ」 「皆適当だね…」 ノリノリで話す4人に比べ時雨は乗り気ではない。五月雨程ではないが艦隊に長くいる身としては2人の関係をよく知っているからだ。 「まあとりあえず大井さんからアドバイスっぽいの貰ったし試してみたいかな」 「じゃ、それで決まりね」 「五月雨、ちょっといいかい?」 秘書としての執務を終え、ゆっくり食堂で食事を取る五月雨を涼風が呼ぶ。 「あ、涼風。ちょっと待って、私もこれで食べ終わるから」 慌てて皿に残されたデザートのアイスを食べると五月雨は涼風に笑顔を向けた。 「で、何かな?」 「いやさ、最近五月雨も提督も疲れてるみたいだからこの睡眠薬をあげようってね」 涼風が睡眠薬と称した錠剤を五月雨に渡し、握らせる。 「睡眠薬?何で?」 「なに、疲れてる時はぐっすり寝るのがいいって言うじゃん」 「そうなの?」 「ああ、何人も言ってたから間違いないよ」 「そっか、ありがとう。提督にも渡してくるね」 「五月雨は一錠で提督は二錠だからねい」 嬉しそうに執務室に走り出す五月雨を見送った涼風はニヤリとする。 「あれでうまくいけばいいんだけどね」 「ふう……そろそろ僕も休むか」 執務室には提督が一人書類仕事に没頭していた。長くなったので先に五月雨は食事を取らせ、自分は軽く済ませるつもりだった。 コンコンとドアがノックされる。この時間なら五月雨とわかっているので提督は返事しない。 数秒後にドアは開かれ、静かに、どこか嬉しそうに五月雨が入ってくる。 「うん、どうしたんだい?間宮さんのアイスでも食べたのかな?」 「提督、私そんなに子供っぽいですか?……確かに食べましたけど」 「いや、アイスが好きなのは子供っぽい訳じゃないさ。長門も実はアイス好きだしね」 何気ない雑談、誰も見ていないけど2人はいつもと同じように接しあう。 「そうだ、涼風達が私達を心配してくれていい薬をくれましたよ」 「薬?」 五月雨が包まれていた封を開き、中から白い錠剤を3つ取り出す。 「睡眠薬だそうです、依存性はなく、ぐっすり寝られるよって」 「ふうん、確かに最近疲れ気味だしね。今日は仕事を終わりにして寝ようかな」 机の上に山積みになった書類を床の段ボールにしまい、提督は五月雨の横に座る。 「どれ、貰おうかな。水は」 「は、はい」 「ありがとう」 提督は事前に準備された水を五月雨から受け取り、ゆっくり薬を飲む。 「さて、寝ようかな。それじゃあおやすみ」 「あっ、提督!今日は……その……」 「あ、ああ……いいよ。一緒に寝ようか」 執務室の横に併設された仮眠室は提督と秘書艦の2人が寝れるようになっている。 普段は使わないがたまに五月雨が提督にお願いしたりすると2人で寝ることがある。 「じゃあ着替えてくるから五月雨も隣で着替えなよ」 執務室のクローゼットにはこんな日のために提督と五月雨の寝まぎや着替えがいくつか常備されている。 慣れた2人はそれぞれ執務室と仮眠室で着替えると仮眠室で布団に横になるのだ。 「やったぜ、提督はあの薬を飲んだよ!」 執務室のドアに借りてきたソナーを付けて盗聴する涼風。 隣には白露も座り、同じように中の様子を盗み聞きしていた。 「あとは大井さんの薬が効果出るまで待つだけかな」 涼風が五月雨に渡した薬はもちろん睡眠薬なんかではない。 大井特製の媚薬であり、即効薬ながら効果も強く、依存性がないスグレモノである。 夕立が大井から聞いたアイデアとは単純に提督に五月雨と寝てもらうだけである。 最近忙しくてお互い欲求不満だろうし、一回すっきりすればいいのだと提案したのだ。 「まああたい達も提督は好きだけどやっぱり五月雨には敵わないしなあ」 「さっさとあの2人は結婚すればいいのにね」 「その意見には同意だけどこういうやり方は好きじゃないかな」 「あれ、どうしたんさ時雨?」 ソナーで盗み聞きしていた2人の背後に静かに忍び寄る時雨。 「やっと見つけたよ。さあ行くよ」 2人の首をガシッと掴むと時雨は2人を執務室の前から引きずりはじめる。 「ちょ、痛い、痛いって」 「痛いし目立って恥ずかしいし……」 「あとね、あの薬は僕が五月雨に説明して本当に睡眠薬に変えといたから」 「えっ!?なんでさ?」 「2人の仲は僕らが干渉すべきじゃないってことさ」 仮眠室では並んだ布団で幸せそうに寝息をたてる2人が寝ていた。 きっと明日から2人は疲れもとれてまたいつものように仲良く頑張ってくれる。 時雨はそう信じて姉と妹を引きずりながら自分の部屋に歩くのだった。 翌日、白露と涼風が何故か戦闘もしてないのに疲労していたのだが本人達は何も語らなかった。
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あなたがGIF班になることで救われるnama主がいます GIF班(ギフはん・ジフはん) GIF班とはnama主の勇姿を記録する陰の立役者である。 namaはその仕様上アーカイブは残らない しかしnama主たちの艦これでの激闘はそのまま消えゆくにはあまりにも惜しいものばかりであった そこで有志が立ち上がりnama主のラスダンをGIF班として記録するようになった そして集まったGIF画像が振り返り動画として編集され放送される GIF班無くして振り返り動画は無いのである GIF班になろう! イベント時は特にnamaが混雑しており深夜や早朝であってもラスダンnamaが放送されることは珍しくない GIFを録画できるkomeは一人でも多い方が撮り逃しを防げるためここでGIFの撮り方を解説する。 1.GIF録画ソフトをインストールする 画面をキャプチャしGIFとして保存できるソフトの中でも直感的に操作できるのが、「ScreenToGif」である。ダウンロードはこちらから。 2.ScreenToGifを起動する ScreeToGifを起動したら一番左のレコーダーを選ぶ。 3.GIFを録画する これがScreenToGifである。起動したときのサイズは小さくモニター一枚でkomeやnamaを見ていても隙間に収まるようになっている。 アイコンについて左から解説する。 歯車-設定を開く。 fps-フレームレート。画像では30fpsだが15fps以下でもnamaを十分録画できるし完成したGIFをkomeにも貼ることができる。 エリア-キャプチャ範囲を設定できる。視聴中のnamaのサイズに合わせよう。 ●-録画ボタン。録画中は一時停止ボタンに替わる。 ■-停止ボタン。録画中や一時停止中に停止するとGIFの保存などができるエディタ画面が開く エリアでnamaの範囲を指定し、録画ボタンを押すだけで誰でも簡単にnamaを録画できる。 4.エディタでGIFを調整する 「名前を付けて保存」からGIFを保存することが可能であるが、その前に見やすいように調整することができる。 上のタブの「編集」からGIFのフレームを削除することができる。 「以前を削除」で選択中のフレームより前のフレームを、「以後を削除」で選択中のフレームより後のフレームを削除できる。 余計なフレームを削除することでスッキリした見やすいGIFを作ることができる。 5.名前を付けて保存する GIFができたら上のタブの「ファイル」から「名前を付けて保存」を選択する。 特に設定はいじらなくていいが「保存オプション」で「ファイルアップロード」チェックを入れ、「Imgur(匿名)」を選択することで保存後に出るURLをそのままkomeに貼ればGIF画像を流すことができる。 GIFを録画の流れは以上である。 これで君もGIF班だ! GIF班質問コーナー Q.namaのどのタイミングで録画開始すればいいかわかんない… A.namaが始まったらすぐに録画開始ボタンを押すと良いでしょう。艦これというゲームのシステム上、ネルソンタッチなどで開幕ボス撃破する可能性があります。過去に初手ネルソンタッチでボス撃破してしまいGIFを撮れなかった事例があります。そういった悲しみを防ぐためにもnama開始と同時に録画を始めると良いでしょう。 Q.撃破シーン撮れたけどどこからどこまで切り取ればいいかわからないです A.基本はフィニッシャーの攻撃開始からゲージが割れる演出までを切り取ってGIFにすれば良いでしょう。また撃破時に茶番を挟むnama主の突破時は茶番部分もGIFに入れると喜ばれるでしょう。 Q.他のGIF班がいるしし自分は録画しなくてよくない? A.ラスダンは可能な限り録画してほしいです。他のGIF班がいても録画ミスや録画したGIFファイルが破損している可能性もあります。できる限り多くの人がGIF班となることでそういった事故を防ぐことができます。 Q.録画に失敗してしまいました。GIF班から破門ですか…? A.次回から気をつけましょう。録画ミスは人間である以上起こりうることです。気持ちを切り替えて次のnama主は撮り逃さないようにしましょう。
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62 :3-91:2014/04/22(火) 01 14 13.68 ID wHbOr9s/ おおイベントを前になんか素晴らしい投下の流れが…! 僭越ながら自分も一本 提督×球磨 お姉ちゃん肌なクマーに甘えっぱなしのイチャラブ純愛 人類敗北後の話だけど鬱要素はあまり無いつもり 連投規制で間隔空きますご勘弁を (ついでにハートマーク出るかテスト ♥) 63 :提督×球磨:2014/04/22(火) 01 15 50.12 ID wHbOr9s/ 数週間ほど前から、球磨と二人、山の中の穴蔵で生活している。 いや、まあ何故かと言えば、横須賀は深海棲艦に占領されてしまったからだ。 それで球磨と二人、呉へと逃げるつもりで脱出したら、呉も敵の手に落ちてるらしい。 こりゃどうすんべと思ってたら、球磨が船を出してくれて、かろうじて敵船が跳梁してない日本海を二人逃げる逃げる。 それでどこをどう逃げたものか俺は覚えてないが、球磨に聞けば、現在地は北海道某所の山中だという。 球磨は「の・ぼ・り・べ・つ! 登別行きたいクマー」などと無邪気に言っている。何のことやら。 ……あ、書き忘れたかもしれないが、人類は深海棲艦に敗北した。 もちろん完全な敗北までには、各鎮守府の重雷装巡洋艦への「アレ」の配備通告、「日乃レポート事件」に始まる大規模な政変、 挺身特攻隊「暁の戦力外部隊」による深海棲艦の巣への神風突撃、飛行/潜水能力を有した「合体変形種」深海棲艦の出現と戦況の悪化、 太平洋を中心に投入された巨人兵器「イェーガー」の活躍、米国が主導で唱えた核兵器による徹底殲滅論と、 それを察知した深海棲艦側の「巨大深海氷山空母姫」のワシントンD.C.への先制攻撃と陥落、などなど…… 今後100年は映画の脚本のネタに困らないようなドラマと涙の数々があったワケだが。 とにかく結果的に。 人類は敗北した。 ………… …… しかし今の球磨との二人の生活の中では、なぜかそんな敗戦の事実さえ、遠い星の出来事のように思えるのだった。 *** 「おっ、提督、起きたクマー?」 まぶたを開けると、球磨のぱちくりした目と目が合った。 俺の目は、涙と目やにでかすんでる。おまけに頭は熱でフツフツ煮えるようだ。球磨の輪郭線もぼやけて見える。 「クマー、あいかわらず熱があるみたいだクマー」 「……ああ、治すように努めてるが……すまないな」 球磨が、湿った布で俺の顔を拭いてくれながら言う。 その手つきがすごく優しくて気持ちいいので、つい口の周りを汚した子供みたいに、球磨にお世話されるままになってしまう。 ここ一週間ほど、ガラにもなく熱なんて出して臥せっているのだった。 その間の看病をずっとこいつが、球磨が、一人っきりでしてくれている。 「ご飯は食べられるクマー? 出来れば少し栄養付けとくといいクマ」 顔を拭われて少しはしゃきっとした俺に球磨が言う。 言われてみれば、穴蔵の中にふわりと漂ういい匂い。 川魚の塩焼き、ふかして潰したジャガイモ、山菜にキノコ。そんな食事が、テーブル代わりにしてる木箱の上に並べられていた。 球磨が俺のために一品一品、苦労して山の中を集めてきてくれたのだろう。 熱のせいで、食欲はさほど湧かない。 けれどそんな球磨のいじらしさを思うと、何としても食べてやらねばという気になった。 寝床の上から身を起こす。 「提督、ムリに起きなくていいクマ-、球磨が食べさせてやるクマ」 ……球磨の手で寝床に戻されてしまった。 仕方なくその言葉に甘えることにする。 「……すまん」 「気にするなクマー、提督だってきっと、球磨が風邪ひいたらおんなじことするクマ」 艦娘に風邪やらなんやらがあるのかはわからないが、球磨はそんなことを言う。 もしかしたら冗談なのかもしれない。 いずれにせよ俺も熱でふわふわする頭では適当な返しが思いつかないから、曖昧に笑って返す。 「ほれ、『あーん』だクマー」 「……」 「提督、『あーん』だって言ってるクマー」 「……あ、あーん」 逡巡したが結局、球磨に「あーん」で食べさせてもらう(所詮人間、その気になった艦娘の力には逆らえないから、従っておくのが賢いのだ)。 食べやすいように潰したジャガイモが、スプーンで口に運ばれる。 ほくほくして、塩気があって、噛むとジャガイモの甘みが出てきて、旨い。甘い。北海道だからか。 「うまいなー、球磨。うまいよ……にしてもコレ、どこで採ってきた?」 「ふふーん、球磨が山を下りてったら村があって、そこの地面一面にジャガイモが『生えてた』んだクマー」 「……すまんな、俺のために畑ドロボウまで」 自分のせいで軽巡・球磨に野生の熊さながらのマネをさせてると思うと、申し訳ない。球磨と、あと農家の人に対して。 「いーや違うクマ! すぐ近くに人の家もビニールハウスもあったけど、たぶんアレは野生のジャガイモだクマー、 球磨に採って採ってーって言ってたクマ」 「うーむ……野生かー、球磨が野生って言うんじゃしょうがないなー」 なんだか、球磨は俺に徹底的に気を遣わせないつもりらしい。 俺も特にそれを追求することはなく、今は旨いからいいか別に、などと思いつつ、モグモグと球磨の手からジャガイモを食べさせてもらう。 ジャガイモもふわふわなら、球磨と俺の会話もふわふわしてて、熱に当てられた俺の頭もふわふわで。 ついでに人類が深海の敵に負けてしまった事実さえ、何だか現実味がなくてふわふわしてて。 ぜんぶがぜんぶ、ぬいぐるみの中身のようにふわふわしてる。 それがこの、球磨と二人きりの空間だった。 「ほい、『あーん』だクマ」 「あーん……んむ、むぐ、うむ」 球磨の獲ってきた魚も、また格別旨かった。 しかも俺には自分で骨をとる苦労すらない。 ほぐされた状態の切り身を口に運ばれるたび、なんだか赤ん坊の頃に戻るような、イケナイ快楽が芽生えそうになる。 ……このままでは俺は、球磨をお母さんだと思いこんでしまうんじゃなかろうか。 「提督、気に入ったクマ?」 「ああ、うん……この魚もうまい」 「そっちもだけど、その……球磨に『あーん』されるの、気に入ってしまったクマー?」 「…………!!!?? い、いや、そんなことはないぞ!? 断じてない!!」 いけないいけない。普段はゆるキャラみたいな言動してるくせに、こいつは妙に察しがいいのだ。 「ふっふっふ~そりゃ残念クマ、なんなら提督が元気になった後も、食べさせてあげてもいいと思ったのにクマー」 「……~~~~~!!!!!」 やばい、ちょっとしてもらいたいと思ってしまった。 「あ、あぁ~~~それより、よく温かい料理が作れたな、大変だったろう?」 あわてて俺は話題を変える。 「大変?」 「ほら、山の中とはいえ、火を焚いて煙が出たら、たぶん山狩りに見つかるだろうし」 「あぁ……そのことかクマ」 事実、俺たちは追われる身だった。だから戦争が終結した今も、こうして隠れ潜んでいる。 追われると言っても、かつての敵、深海棲艦ではなく、人間の手によって。 そう。今回の敗戦の責を一方的に負わされたのが我々――提督や艦娘たちなのだ。 俺たちは各地に落ち延びたあとも、懸賞金をかけられ、鵜の目鷹の目で捜索され、追い立てられる運命だった。 「まあ、燃料用アルコールがあるから、しばらくは煙の出るたき木を燃やさないで済むクマ」 「なるほどな……まあ、何にせよお前たち艦娘には、本当に苦労をかけるな」 「……こっ、こんなの、昔の戦に比べたら苦労のうちに入らんクマ!」 しばらく穴蔵の中に沈黙が落ちた。さっきのふわふわした雰囲気なんてどこにもない、澱のような沈黙。 けど俺はやっぱりその重苦しさを引き受けねばならない気がした。だからこんな風に話題を変えてみせたのだ。 俺にはその責任があった。 実のところ、深海棲艦は重要な拠点や泊地を除いては、いっさい陸への侵攻をしてこなかったのだ。 ただ人類をすべての海域、すべての空域から追い出して、深海棲艦は満足してしまったらしい。 だから人類は滅ぼされることなく生き残った。俺と球磨もおかげで生き残った。 しかし生き残った人類が、当然そのやり場のない怒りの矛先を向けたのが、人類の海と空を守る戦に敗北してしまった軍人たちだ。 海と空という希望を失った世界で、俺や球磨たち艦娘は、地を這いずって生きていかねばならない。 人類すべての怨みを受けながら。 「すまん…………ぜんぶ、俺のせいだ」 ぽつりと呟いた瞬間、球磨にガッ!と胸ぐらをつかまれた。 これがベアクローか、と冗談を言う間もない。息がつまる。 「~~~ばっ!! ばか言うんじゃねぇークマ!!! そんな、一人でそんな風に思っていたのかクマ!? ひとりで、世界ぜんぶの運命をしょいこんだみたいな顔して、どうすんだクマー!!!?」 球磨に、そんな風に本気で叱られた。 ほとんど球磨の顔も涙まじりなのに、不思議とすごい気迫があって押されてしまう。さすがは球磨型5人の長女だ。 「こ、こら、な、なんとか言えクマー!!!」 「球磨、あの……く、くるしい……」 「!? ……あ! す、すまないクマ~!!」 「い、いや大丈夫だ……」 球磨の手をぺしぺしとタップすると、あわてた球磨が離してくれた。 「……提督、やっぱり、そのことを気に病んで、それでこんな熱を出してしまったんだクマー。気づいてやれなくて、本当にすまんクマ……」 「何言ってる……机仕事だった俺なんかより、きっと本当に辛いのを我慢してるのは、矢面で戦っていたお前たちだろ……」 そうだ、結局俺の苦労なんて、ものの数ですらないのだ。 本当に最前線で敵艦と砲火を交え、仲間が沈んでいく横で、痛いのも泣きたいのも押し殺して、戦ってきた彼女らに比べれば。 なのに結局戦争を取り仕切るのは、俺のような安穏として無能な指揮官たちで、 彼女らがどれだけ戦争を終わらせたくても戦略に口を出す権限などなく。 帰ってきたら言われもない敗戦の責を負わされて、一方的に追い立てられる。 「……なあ、球磨。俺を自警団かどこかへ突き出して、その懸賞金でお前だけ逃げるといい。俺みたいな顔が売れてる士官と違って、うまく隠れ潜めるはずだ」 俺は球磨にも、きっと今までたくさん苦労をかけ、我慢させてきたはずだった。 だから球磨を、せめてこれ以上束縛したくはない。そういう思いがあった。 「なっ……何を言ってるクマー!!?」 「女だから尼寺に隠れたっていい。何にせよ、俺をかくまって逃げたり俺のために苦労するより、よっぽど自由で気ままな……」 「……て、提督……」 球磨の震える声に気づいて、顔を向ける。 「提督は、それが本当に球磨にとって幸せだと思っているクマ?」 球磨が、今度は本当にぽろぽろと涙をこぼしている。 俺はあわててその手を取る。 「い、いや俺は可能性の一つを述べてるだけであってだな」 「球磨の幸せは……苦労しないことでも、自由になることでもないクマ……」 そう言うと球磨が、寝床に横たわったままの俺の体に覆いかぶさってくる。 やわらかくて、温かくて、細っこい球磨の体が、ぎゅーっと押しつけられる。 人なつこい動物に抱きつかれてるみたいだ。 「球磨のしあわせは、好きなもの、守りたいもののために生きることだクマ。もしも、好きなものを守るために戦えるなら、 どこだってそこが戦場クマ。守りたいものが側にいてくれるなら、どこだってそこが球磨の家なんだクマ」 潤んだ瞳で俺の瞳を覗きこみながら、球磨が一言一言、はっきりと俺に語る。 「だから提督は、球磨の生きがいだクマー。ずっと……ずーっと、離さないクマー」 球磨にしつらえてもらった寝床の上で、球磨の腕と体に抱かれながら。 そんな風に宣言されてしまった。 なんでだろう。球磨の涙ぐんだ目に見つめられて、俺も涙が出てきてしまう。 俺を非難し、糾弾し、ひっぱたき、ののしる権利だってあるはずのこの球磨は。 俺が生きてるだけでいい、そう言ってくれている。 そんな風に言われると、何だか自分でも、それでもいいのかもなあという気分にさえなる。 このままずっと、球磨の腕に抱かれてても、いいのかもしれない。 「んっ……そうだ提督、食後のデザート、忘れてたクマー」 「デザー、ト……?」 言いながら球磨は、ほこほこ湯気を立ててるティーカップをテーブルから取り上げると。 その中身の液体を、自分でくいっとあおる。 そうしてから、球磨は俺に口づけた。 「……っ、んッ……ぅむっ」 球磨の口に含まれた液体が、俺の口に流し込まれる。 球磨の舌を伝って、喉の奥へ。口移しだった。 液体はあったかくて甘い。何よりとろりとなめらかだ。 そんな甘くて深い液体を、こくこくと、球磨の唇から分け与えてもらうのは、 まるで球磨から、あふれるような生命を分けてもらってるみたいだった。 「蜜湯だ、クマー。ハチミツと生姜を湯に溶いたクマ」 ぷは、と離した唇をちょっと舐めてから球磨が言う。 「元気の源だクマ」 たしかに甘さの中から活力を湧かせるみたいな、やさしい味だった。 けどそれがハチミツの味なのか、球磨とのキスの味なのかは、よくわからない。 そして、何よりも眠かった。 温かいものをたっぷり胃に入れたせいだろうか。 熱に悩む体が休息と回復を求めてるかのように、急に猛烈な眠気に襲われてしまう。 「球磨……すまん、少し、眠る……」 「ん、それはいいことだクマ。きっと起きたら今までどおり元気だクマ。球磨が、保証するクマ」 「……うん、球磨がそう言うなら、そうなんだろうな……」 「ふふふ~、提督、目がとろんとしてきたクマ。おねむだクマー」 球磨がそう言いながら、俺の上に覆いかぶさってた体を少し動かす。 そして今度は、球磨が隣に寝ながら、俺をひしっと抱きしめる姿勢になる。 布団代わりのハグだ。 球磨が胸に俺の頭を抱いて、脚でしっかり、俺の腰につかまっている。 上質な毛皮につつまれてるみたいな、心地よい窮屈さと暖かさ。 球磨の胸もとから、汗と、女の子の香りと、ハチミツみたいないい匂いがした。 「球磨が抱きしめてやるクマー。こうして、あったかくして、眠るクマー」 こうして。 人類が敗北した世界で俺は。 暖かい巣穴の中、球磨に包まれながら、とろとろ、とろとろと眠ったのだった。 *** 起きると、なんだか妙に寝覚めがスッキリとしていた。 昼寝から起きると怖いくらい頭が冴えわたってる時がたまにあるが、正にそんな感じだ。 と、そこで気づいたことだが、今まで患ってた熱がすっかり引いている。 ダルさも辛さも、体から抜けている。どうやらこの爽快さの原因はそれだった。 その代わり、何だか体全体がぽかぽかと暖かい。 狭くて、匂いがこもってて、ぬくい、獣のすみかにいるみたいだ。 「……球磨?」 思い出した。俺は球磨の体そのものに包まれて、寝ていたのだ。 球磨は起きてたらしく、俺が呼ぶとすぐに返事が返ってくる。 「クマ~、提督、お目覚めクマー?」 「うん……おかげで、すごくよく眠れた」 「……そうかクマー」 「ああ、もう熱もすっかり引いたみたいだ」 「ん。なら、よかったクマー」 俺を胸に抱きながら喋るという奇妙な格好のせいか、何だかぎこちない球磨の返事。 「なあ……球磨?」 「なんだクマー?」 球磨の胸もとからもぞもぞ顔を出して、球磨の顔を見すえて言う。 その顔はちょっと蕩けていて、夢見るようだ。もしかすると眠いのかもしれない。 「その……ありがとう、な。さっきも、今までも、ずっと……」 「ふふふ~~、大したことじゃないクマー」 「いや、ほんとうに感謝してるんだ…………なあ、ところで、球磨」 「クマ~?」 「お前、顔が赤くないか?」 いま気づいたのだが、球磨の顔はとろんと蕩けているだけでなく、なんとなく赤かった。 もし俺の看病のせいで伝染ったりしたのなら、申し訳ないどころの話ではないので、俺はちょっと本気で心配する。 「ん? あー……別に、気にするような理由じゃないクマ」 「そ、そうなのか? 何か出来ることがあったら、言ってほしいんだが……」 「……じゃあ、提督にひとつ頼み事してもいいクマー?」 「あ、ああ! もちろん、球磨のためなら何でも!」 「クマー。それじゃあ……」 球磨がちょっといたずらっぽい、不敵な笑みをうかべて言う。 「なら、ちょっと腰を引いてほしいクマー」 「……え?」 「その……提督の……が、当たってて……」 「……~~~~~!!!!!? すっ、すまん!! 球磨っ、すぐ、離れるからっっ!!!」 寝床の中、隣り合って並ぶ球磨と俺の下半身。 その片方、俺の腰から、朝の元気にまかせて突き出たモノが。 球磨の腰に、無意識のうちにくいくいと自身を押しつけているのだ。 球磨が頬を染めてたのはそれでか! しかし俺があわてて腰を引こうとした途端、球磨の両脚がガッチリと俺の腰を押さえてホールドしてきた。 「あーはっはっは!! あはは、はーっ、て、提督、冗談だクマ~! 球磨はぜんぜんイヤじゃないクマ、本気に受け取らないでほしいクマー」 なるほど体がぽかぽか暖かいのは、まんざら球磨に包まれてるせいだけでもないらしかった。 まるで頭の熱がすべてそっちへ移ったように。 あるいは抵抗力が弱まっている間、体に入った微菌や悪いものを、ぜんぶそこから排出したいとでも言うように。 とにかく俺のモノは、極限まで熱く硬くなっていた。 ……有り体に言えば、『溜まってる』状態なのだろう。熱のせいで寝込んで処理も出来なかった、この一週間分が、丸々。 そして俺の分身は、まるでその切ない熱のはけ口を球磨に求めているかのように、キュロット越しの球磨のそこへと、 厚かましくぐいぐい、ぐいぐいと自身を押しつけている。 そんな体の動作に気づいてしまうと、俺の中でも、腰の奥から登ってくるそわそわした欲望が、むらっと鎌首をもたげる。 「ふっふっふ~……提督が寝てる間ずーっと、この子は可愛かったクマー」 「か、可愛いって……っ!」 「提督がくーくー眠り出すと、球磨の腰とくっついてるところで、この子がむくむく大きくなってきたクマ。 さすがに恥ずかしくて球磨がちょっと腰を引いたら、今度は寝てる提督が、自分から腰をくっつけてきたクマ~」 「…………~~~~~!!!」 「この子は球磨のお腹でも太ももでも、とにかく先っぽでつんつんしたり、すりすりしたり、くっついてきたがったクマー。 必死で球磨の中に入りたい入りたいって言ってるみたいで……ふふ、すごく可愛くって、球磨まで照れちゃったクマっ」 顔から火が出るような恥ずかしさで、しばらく絶句してしまう。 ……そう言われるとまるで、俺が自分の体と性欲の操り人形のようではないか。いや、事実そうなのかもしれないけど。 しかしさすがに、寝起きの勃起と溜まった性欲に任せて、ずっと付きっきりで看病してきてくれた相手を抱く、 なんてのは、さすがに恩知らずとかいうレベルではないだろう。 球磨がどんなに無邪気に触れてきたり、どんなにこっちの無遠慮を許してくれても、そこまで甘えてはいけない。 こんな山の中の生活ではあるが、まだ俺は動物じゃなく、人間のつもりなのだ。 「な、なぁ球磨……離れてくれないか」 今度は俺が頼む番だった。 「クマー? 提督は、球磨としたくはないクマー?」 「そうとは言ってないが、そうじゃなくてだな……」 男の精神、というか男心は、必ずしも不随意な勃起と連動するものではないのだ。 しかしそれを女の子の球磨にどう説明すればわかってもらえるだろう。 と、そんなことを思っている合間にも、きゅーっと球磨の腰に密着させられている部分から、とても無視しがたい感触が伝わってくる。 キュロット越しの球磨のやわらかい丘の丸みが、屹立をやさしく包みこんでくれる感触。 いかん。このままでは本能に理性が負けて、ほんとうに獣になりかねない。 「クマー……うーん、提督は、ハチミツが媚薬の一種だって話、知ってるかクマー?」 「は、えぇ?」 突然そんな話を持ち出す球磨。 「もちろん球磨も詳しくは知らないクマー。けど、人間の食べ物が貧しかった昔は、栄養満点のハチミツはきっと、 それだけで身体を興奮させたはずだクマ。だから、最近精力のつくモノを食べてない提督にも、 ちょ、ちょっとはそーいう効果が出るかもとは、き、期待してたクマ……」 「球磨、お前……まるで『一服盛った』みたいな言い方を……」 「そうクマー! だーかーらっ」 そう言って球磨が背中を抱いてくる。 「球磨の、『計画通り』なんだクマっ」 「く、球磨……だって、何のために?」 「むぅー……好きだから、くっつきたい、つながりたいって、それだけじゃ、いけないクマー?」 そう言って球磨がもっとひしっと抱きついてくる。 いまや腰と同じように、お互いの腹と腹、胸と胸もくっつき合っていた。 球磨の鼓動が、こっちの体の中にも伝わってくる感じがする。 「提督の方は、どうなんだクマー?」 「俺の、方……」 「球磨のこと……その、好きクマー? 球磨と、くっついたり、つながったりしたいクマ?」 「俺は……」 そんなことを聞きながら、球磨の手が不安なようにこっちの背中をさ迷う。 その仕草に気づいて、思わずこっちも球磨の背中をぎゅーっと抱いてやる。 球磨の体はあたたかくて、やわらかいのに、しっかりと質量があった。 すごく、『生き物』だと実感する手触りだ。 何だか、こんなにあったかくてやさしい生き物に、自分が想われてることを、何かに感謝したい気持ちだった。 「球磨が好きだ……くっつきたいし、つながりたいと思ってる」 そう言って、球磨をもっと固く抱きしめる。 抱きしめると、球磨の言ってる「好き」と「くっつく」と「つながる」という言葉がもっとよく理解できる気がした。 三つはひとつづきの同じ意味の言葉のように思えた。 洞穴で二匹暮らすつがいや、母を求める哺乳動物の子供。あるいは群れで暮らしお互い依り添い暖め合う生き物みたいに。 相手を求めてくっつき合うのは自然なのだ。 好きな気持ちだけでも、下半身で球磨とつながりたいだけでもなくて。全身で球磨と『くっつきたい』のだ。 「……わかったクマー、それじゃあ……」 頭をこちらの肩に乗せたまま、球磨がささやく。 「いっぱい、くっついて、つながり合うクマ」 *** 布団もない草の寝床の上で、球磨が下になり、俺が上になって、重なり合う。 ゆっくり、くすぐり合うような手つきでお互いの服を外していく。 まずは球磨のセーラーの上を脱がす。 すると、下着も何もなく、そのままの乳房が転がり出てきた。しかも結構、ある。 「ふっふっふ~……意外におっきい球磨ちゃんって、よく言われるクマー」 白くてふわふわした胸を自慢するみたいに揺らしてみせる球磨。 「……感触、確かめてみたいクマー?」 その言葉に誘われるまでもなく、すでに両手が、丸くてやわらかいモチみたいなのに伸びていた。 初めは吸いつくようで、そしてふよふよふよふよと、どこまでもやわらかい感触。 あんなにしっかり締まった球磨の肢体に、こんなふわふわしたモノがくっついてるのが不思議でならない。 不思議でならないので顔をうずめてみる。 「ク、クマーっ?」 森の熊さんが驚く声がするが、気にしない。 球磨の胸の間は、ぎゅーっと挟みこまれる圧迫感があって。 そして心臓の鼓動がとくとく、とくとく、と聞こえてくる。思ったとおり、とても落ち着ける場所だった。 いい発見である。 「……ふふ、提督は甘えん坊さんだクマー」 「……うん」 球磨にそんな風に甘やかされながら、球磨の体を下へ、下へと降っていく。 球磨のお腹は、胸よりは数段しっかりした肉付きをしていて、うっすら筋肉が感じられる。これも、心地いい手触りだ。 その下、球磨のキュロットパンツの部分に至ると、さすがに球磨がちょっと身を震わせた。 「あ、て、提督……」 まだ何だか脱がせるのが勿体なくて、やっぱりその部分に顔をうずめてみた。 キュロットの股間の丸みの中に、球磨の大事な部分の形が隠れているのが感じられる。 圧迫されると気持ちがいいのか恥ずかしいのか、球磨の腰がふるふる、切なそうに震えて面白い。 ふくらみの部分に鼻先を押しつけて少し息を吸いこんでみる。 やっぱり汗の匂いと、それから山道の草みたいな匂いがする気がした。 「は、恥ずかしいクマ~! そんなところ嗅がないでほしいクマーっ!」 「う、うわっ、球磨っ!」 ぐわしっ、と。 跳ね上がってきた球磨に押し返されて、逆に寝床にのされる。 そうして今度は球磨が上になって、俺の動きを封じ押さえつけてしまった。 形勢逆転、というワケらしい。 「ふしゅーっ……提督、おまえ、うまそうだクマー……」 そんなことを言いながら球磨が俺の体の上を、獲物の弱い部分を探し当てるみたいに、ふんふん、ふんふん、と嗅ぎ回る。 正直ちょっと冗談に聞こえない。 そのうち球磨の鼻がぴたりと、俺の首筋の上で止まった。 次の瞬間、狙い定めたようにその箇所が、ぴしゃ、ちゅるる、と水音を立てるようにして吸われる。 「うあ、あぁっ……球磨っ……!!」 首という生命につながる器官の周りを吸われると、くすぐったくって仕方がなかった。 きっと生命の危険を知らせる信号の一番弱いようなのがほとばしって、体を疼かせるからだろう。 その信号は下半身にも届くのか、俺の腰の奥にも小さな快楽の電流が、連動したように流れる。 「ぷはぁっ……提督の体、まだ熱いクマ。熱が残ってる感じがするクマー」 首筋に口づけたまま、球磨の手が俺の肩、胸骨、腹、脇の下と、遠慮なくするすると這い回る。 こんな硬いだけの身体のどこが面白いのだろう。いい匂いもしないし。 けれどどうやら球磨は、その雄臭さとでも言うべきものに興奮を覚えているらしい。 撫でまわすうちに淫靡さを増す球磨の手つきに、こちらまでつられて、昂ぶらされる。 「はぁーっ……すごく、熱いクマー……」 腰骨に頬ずりするようにしながら、球磨の手も熱を求めてそろそろと下へ降っていく。 まだ脱がされていない下半身の中心で屹立しているモノも、期待に身を震わせてしまう。 「クマ~……いちばん熱いのは、ここかクマー?」 しゅるっと。履いたままだったズボンと下着を一気に下ろされる。熱の中心が外気にさらされた。 そしてソレが下着から顔を出したかと思う間もなく、球磨が顔を近づけ、鼻をよせてくる。 そのまま球磨が、ふんふん、ふんふん、と鼻をひくつかせた。 「あ、あぁっ……!! 球磨ぁっ……」 球磨の発情したような熱い吐息と、ときどき当たる鼻の感触。 溜まっていたばかりでなく、外の空気に触れるのすら久方ぶりのソレには、もどかしいぐらいの、繊細すぎる刺激だった。 「ふふ~……はちきれそうで、雄の匂いがいっぱいしてるクマー」 そう言って一度舌なめずりをしたかと思うと。 ちろちろ、ちろちろと踊る球磨の舌先が竿全体を舐め回し始めた。 「ああぁぁぁ……っっ!!! く、球磨っ……! は、あぁっ……!!」 根本の茂みの生えてる辺りから、裏筋、敏感なカリの周り、そして先端の割れ目まで。 汚れを気にもせず、それどころか、より興奮しているかのように。 一週間分の垢をこそげ取ってくれるかのように、球磨の舌が俺のモノの上を這い回る。 獣が毛繕いをするみたいな、そんなさりげない動きなのに、俺は幾度となく腰を浮かせてしまう。 「仕上げだクマ」と球磨が、ついばむようにちゅう、ちゅっ、とそこかしこにキスを残していった後は、 ソレはもうてらてらと濡れて、先端から先走りすら溢れさせていた。 「ん……もっと、提督と全身で、くっつきたいクマー」 そう言いながら球磨が、俺の上に乗ったまま器用にキュロットパンツと下着を脱ぐ。 球磨に腰から下を押さえられている俺は、その動作にただ見とれるだけだ。 今までキュロットの奥に隠されていた場所には、わずかに茂みに覆われた、控えめな割れ目が現れていた。 そうして球磨が俺と球磨の付けていた最後の布を取り払ってしまうと、二人とも本当のむき出しの姿になる。 間に何も挟まるものはなかった。 「このカッコで、くっついてみるクマ?」 「え? ……あ、ああ、そうしよう」 そう言うが早いか球磨が両手を広げてぎゅーっと抱きついてくる。俺も両手を広げて受け止めてやる。 球磨のすべすべした頬と俺のヒゲでちりちりした頬。 ふっくらした胸と硬い胸。ふっくらした腰と硬い腰。 両者はぜんぜん違うもののはずなのに、何故だかぴとっ、と、一つにくっつくようだった。 こっちが呼吸するたびに球磨もそれに合わせて呼吸し、だんだん同じリズムで呼吸するようになる。 そうすると、本当にまるで二人が一つの生き物みたいだ。 境目のない世界で、球磨をぎゅーっと抱いてぎゅーっと抱かれて、ハチミツのようにとろり溶けて一つの体になる。そんな錯覚すら覚えた。 「……提督の、さっきよりすごい勢いで、球磨を突っついてるクマー」 「……うん」 そんな心地よさの中でも、やっぱりこの熱をもったモノの疼きだけは、どうも無視しようがない。 いまや球磨のぴったりとした割れ目に、直に押しつけられている屹立。 たしかに快感ではあるけれど、何だか同じ場所で足踏みしているだけのような焦燥感がある。 もっとやさしく自分を包んでくれる、ふさわしい入り口があるはずのソコの前で、 おあずけを食らっているのがもどかしくてしょうがないのだ。 「クマァ♥……提督、球磨にもっと、きゅーって、抱いてもらいたいクマ?」 そんな焦れた欲求を抱えているのを見透かすように、球磨が聞いてくる。 「あったかくて、とろとろして、ふわふわした球磨のナカで、きゅぅーっ、て、抱きしめられたいクマ? 提督のも、すっごく球磨の中に入りたがってるクマー」 「ああ……球磨の中に、入りたい」 「ふっふっふ~、よく言えたクマー」 そう言うと俺の体の上で、球磨が少し身を引いて、腰を浮かせて膝立ちになる。 「それじゃ、球磨の方から迎え入れてやるクマー」 くち、と熱に喘いでひくひく震えている先端に、湿りのあるモノが触れた。 「は、あぁっ……!」 そして息をつく暇もないまま。 にゅる、ぬぷ、と、球磨が腰を深く沈めるにつれて、にゅくにゅくと球磨の暖かい蜜壷に入りこんでしまう。 気づいたときにはもう、肉茎全体がとっぷりと湯に浸かったみたいに、心地いい感触で満たされていた。 球磨の言ったとおりにあたたかくて、とろとろしてて、ふわふわしている。 「は、んぅっ……」 「く、球磨、その……大丈夫か?」 「……んっ……心配ご無用クマー、提督のがあったかくて、気持ちいいぐらいクマー」 さっき球磨にうながされるまま、わずかな抵抗をする膜に当たったときも、それをぷつりと破って進んでしまったが、 球磨は少しの痛みの他は、何も苦にしていないらしかった。 「ふふ~、こんな体勢でつながる生き物は、きっとそうそういないクマー」 「まあ、そうだな……」 俺は球磨に上にのしかかられたまま、いわゆる⊥字不利……もとい、騎乗位の体勢で球磨とつながっていた。 こんな風に、雌が上位になって雄を搾りとるなんて交わり方をする動物が他にいたものか、寡聞にして知らない。 「でも、この方が球磨には動きやすいクマー。だから、提督……ふふ、動いて気持ちよくしてやるクマー」 そう宣言すると、球磨は俺の上で動き出す。 暖かい洞の中ぬくぬくしていたモノが、ちゅぷちゅぷ、ぬるぬると上下に激しく擦り上げられる。 ハチミツみたいな時間がとつぜん動き出したかのようだ。 球磨の荒い呼吸と共に、収縮しては痙攣する球磨の内側の秘肉。 それに圧迫され、揉み上げられ、ただ横たわったまま、敏感な部位へ与えられる快感を享受するのは、至上の快楽だった。 球磨が腰を沈め、苦しそうなくらいに俺の剛直をくわえ込み、そしてぬるぬると腰を動かして、 色んな液体に濡れた竿を見せつけるように引き抜き、またくわえ込む。 純粋で、白くてふかふかしてて、女らしさや淫らな部分なんてのが想像もつかない球磨が行う仕草だけに、それがとても淫靡で鮮烈な姿に写る。 「あっっ……く、球磨っ、ちょ、ちょっとタンマ!」 「クマ~? どうしたクマー?」 制止の声をこちらが上げる間にも、にゅくにゅくと腰を振り立てる動きをやめない球磨。 そのたびに生まれる途方もない快感に、下半身からそろそろ危険信号が告げられる。 「そっ……そのっ、このままだと出っ……ヤバいから、一旦、抜いてくれるとっ……!!」 「んー? 提督は、気持ちよくないクマー?」 「いっ、いや、そうじゃなくて……」 しいて言うなら死ぬほど気持ちがいい。 「気持ちいいなら、何もガマンすることなんてないクマー。このまま、んっ、球磨のナカに、出してほしいクマ~」 そう言うが早いか、球磨の腰の動きが、ただの上下運動から、こちらのモノを絞り上げるような動きに変わる。 「…………~~~~!!!!」 きゅう、きゅう、と。脚を閉じるようにして、蜜穴の中もいっしょに締めつけ、くわえ込んだ肉茎を圧迫するような動き。 そして脚を開いたかと思うと、今度はふりふりと、媚びるように腰を横に振ってみせ、中へと振動の快楽を送り込む。 さっきまでの、ただ性急なだけの動きが可愛く思えるほどだ。 同時に、その雄の快楽を誘うような動きの中に、これまでにないくらいに、『女』としての球磨を見出してしまう。 「く、球磨っ……!! もうヤバいっ、出、出るっ……!!!」 「大丈夫クマ、提督……来てほしい、クマー……」 腰を振り立てる球磨に追い詰められ、すべての部位を余すところなく刺激されるような、めくるめく快楽に浸されて。 こらえるために腰を引くことも出来ず、そろそろと登ってくる、じくじくした快感に押したてられるまま。 「~~~~ぁ、ああぁぁ……っっ!!」 やがて止めることの出来ない奔流が先端に登ってくるのを感じると、抵抗する間もなく。 びゅく、びゅく、と、溜まりにたまっていた熱い精を、球磨に捧げるように、内側へと漏らしてしまっていた。 もちろん一週間分の射精は一度の放出では途切れずに、二度、三度と、脈動しながら吐き出される。 そのたびに暴れる肉茎を、球磨の蜜穴がやさしくあやすみたいに抱きとめてくれるようで、 その心地よさにまた新たな快感を呼び起こされてしまう。 結局俺の分身は、長く尾を引く快楽の証を、ぴゅーっ、ぴゅっ、と球磨の中に噴き出させた後、 ようやく降参したようにくったりとなったのである。 「んっ……提督、気持ちよかったクマー? 球磨の中に、たくさん出てるクマー」 内側に射精されたばかりの自分の下腹部を撫でながら、球磨がそんなことを言う。 こうして尽くすのが何より嬉しいとでも言うような、慈しむようなその表情。 けれどその顔を見るたび、やっぱりそんな球磨の優しさにすがってばかりではいけないという気持ちが、心の奥で湧き起こる。 欲求を解放してひとここちついたせいか。また、球磨に対してすまないと思った。 「球磨……その……ごめん」 「なっ、なんで謝るクマー?」 「その、ホントは出す前に引き抜くなり何なり、しようと思ってたんだが……」 「……て、提督は、球磨との間に子供、作りたくないクマァ!??」 「……な、ええぇっ!!?」 絶句する。 いや、こんな風になる前は、そもそも球磨が子供の作り方を知っているとすら想像しなかった俺も悪いが……。 球磨が、俺との間に子供を、欲しがっている!? 「く、球磨は欲しいのか、子供……?」 「と、当然だクマっ!! 好きな相手といっしょに、子供作って、産みたいって思うのは、あ、当たり前の気持ちだクマー!!」 俺の上に覆いかぶさったまま抗弁する球磨の目は、真剣そのものだった。 「そっ、それに……」 球磨が俺の胸に顔をうずめながら、続ける。 「……たしかに球磨たちはこうして、深海の敵に負けてしまったクマー……けど、子供を作って、 その子供たちが戦いの記憶を受け継いで、新しい世界や、新しい戦いのための礎にするんなら、負け戦も、ちっともムダではないクマー」 「球磨…………」 ふたたび俺は言葉も紡げなくなる。 理解できないのではない。むしろ、ああそうか、平静感じていた球磨の強さは、ここにあったのかと実感したからだ。 俺が再戦のために奮起するでもなく、敗北を受け入れて生き方を考えるでもなく、ただのろのろと。 漫然とした自罰感に引きずられ、何かを生み出すことも出来ず、ただ球磨との安楽な生活を引き延ばしていた間に。 球磨はこんなにも希望にあふれた未来を思い描いていたのだ。 それでいて俺を無理に付き合わせようとせずに、ハチミツを媚薬代わりに盛ったり、 添い寝をしてくれたりして、事が自然に進むようお膳立てしてくれたのだろう。 体を重ねながら、俺との子供を産む未来に思いを馳せていただろう球磨に対して、俺は快楽を求めていただけだったなんて。 「……そうだよな、球磨。気持ちいいだけじゃ、ないもんな」 「く、クマっ?」 俺が身を起こすと、球磨がびっくりしたように身をすくめる。 「ずっと、考えてた。こんなに俺に尽くしてくれるお前自身は、何か望むものはないのかって。俺は何かしてやれないのかって」 球磨が驚いている隙に、そっとその顎に手を添えた。 「子供、作るぞ球磨。何人でも」 「あ、提督……」 ゆるやかに開いている球磨の唇に口づける。 やっぱりさっきの口移しの甘さは、ハチミツのせいだけではないらしい。 球磨が、んっ、と鼻にかかったような切ない声を漏らし、体がちょっと弛緩する。 その瞬間を見逃さず、腰をバネに力をこめて、体を倒す。 そうして俺は、球磨をふたたび押し倒す格好になった。 「て、提督……やっぱり、この体勢が好きクマー?」 「なに、お前にしてもらってばっかりじゃ、男としてアレだからな」 押し倒されると弱いのか、ちょっと身を縮こまらせる球磨。 その胸の上で、同じくふるふる揺れてるモノを掴み、やさしくマッサージするように揉みしだいてやる。 「あ、く……クマァっ!」 さっきの騎乗位の間中もずうっと、ぶるんぶるんと自己主張していた胸に、 ふかふかと指を沈め、こねるように揉む。コリをほぐすような感じだ。 やがて中心で、ピンク色の乳首がぷっくりと立ちふくらむ。何となく白米にちょんと乗った鮭の切り身みたいで、可愛らしい。 球磨の反応を楽しみつつ、ソレを口にふくみ、吸い上げてやる。 「ふぁ、はあぁぁっ……!! だ、だめクマァっっ!!」 ピンと勃ち上がったのを口の中でねぶり、転がすたびに、球磨がそんな嬌声と呼ぶにはあまりに可愛らしい声を上げる。 「こ、これは子供が出来たときにすることクマァ……子作りには、ぁんっ、関係ないクマァっ……!」 「いいや、関係あるぞ球磨。お前も一緒に気持ちよくなった方が、子供を作るにはいいんだ」 「え、えぇっ……!?」 それを証明するように俺は、二本の指をそっと、球磨の湿りの中に浸す。 そうして次第に指の動きを激しく、壷の中の蜜を探るように、わざとくちゅくちゅ、と音を立ててやる。 「はあぁ、ああぁッ……~~~んんっ……!!」 「ほら球磨、この中、球磨が濡らしてビショビショにしてるけど、俺が放ったモノはだいぶ、こぼれ落ちちゃってるだろう?」 「……!? あ、あぁっ~~!? ほ、ほんとだクマ~っ……!!」 その言葉に思わず自身の足の間に目をやった球磨が、驚きの声を上げる。 さっき俺があふれるほど放った精液が、割れ目の外へとかなり滴り落ちてしまっているのだ。 雌が騎乗位で雄から搾りとってしまっても、そのあと跨がったままの姿勢でいれば、重力に従って子種はこぼれ落ちる。自然の摂理だった。 「……その、俺を気持ちよくさせようとしてくれて、ありがとうな、球磨。だけどやっぱり、俺がちゃんと自分で動かなきゃダメだ。 球磨にしてもらうんじゃなくて、俺が動いて、球磨が身を起こせなくなるまで気持ちよくしてやんなきゃ」 「提督が、球磨を……」 「ああ。だから球磨、体を楽にしろ。あんまり、恥ずかしがるな」 「ク、クマぁ…………っ」 球磨は最初、女の子らしいためらいと恥じらいを見せつつも、次第に俺にゆだねるように、体の力を抜く。 それを確認すると、俺はゆっくり球磨の体に覆いかぶさり、曲線を愛でるように、 球磨の乳房や、腰や、球磨の体に官能をもたらすだろう場所を撫でさする。 そうして球磨が、安心したような、深い息で呼吸するようになったのを確かめると。 「……じゃ、もう一度、挿れるぞ」 「ん……クマァ♥……っ」 声をかけて安心させる。そして俺の肉茎の前にさらけ出されている球磨の秘肉の中へ、にゅくく、と、かき分けるように差し挿れた。 「……ん、あ、ああぁぁッ……!!」 自分から快楽を貪るため動かすのと、待ち焦がれた快楽が入ってくるのでは、やはり違うものなのか、 球磨が騎乗位のときは上げなかった甲高い声を放つ。 「あ、提督にっ……してもらう、のっ……ふぅっ、す、すごいクマっ……あぁッ!!」 にゅぷにゅぷと、球磨の予想もしない角度で突き入れてやったり、 膣壁を擦る竿の動きに合わせて乳首にも刺激を与えてやったりすると、涙を流して吐息を漏らす球磨。 そんな球磨のむき出しの反応が、俺も嬉しかった。 俺自身も、さっき球磨に跨がられていた時より快感が劣るなどということはない。 むしろ一突きごとに昂ぶりを見せる球磨の愛らしさに、ぞくぞくと、背中から腰まで快感の電流が流れる。反作用のように。 「んうぅっ……てっ、提督ぅっ……く、球磨がちゃんと気持ちよくなったら……あぁっ、子供、ほんとうにっ、出来やすくなるクマァ……っ!?」 「俺もよくはその、知らない……けど、自然な営みなんだから、これでいいんだ、球磨っ…… 二人とも気持ちよくなれるやり方が、自然で、正解なはずだ」 少なくとも球磨の体の反応は、きっとこれだけでも子供を作るには十分だろうと思うくらい、熱心で意欲的だ。 どんなに激しく抜き挿ししても、決して子種を生むソレを離しはしないという風に、肉茎に吸いつき、からみついてくる秘肉。 射精を待ち焦がれ、あるいは煽り立てるように、とろりと愛液をまとった粘膜でつつみこみ、くにゅくにゅと収縮する内壁。 それらの動作をどれだけ球磨が自身の意思で行っているかはわからなかったが、とにかく刺激が繰り返されるたびに、 射精という見えつつある頂点へ向かって、一段一段確実に、登り詰めさせられていく。 「はッ、ああぁぁぁっっ……!! 提督、提督ぅっ……!! なんか……なんかっ……きちゃうクマァっ……!!!」 一方逆を言えば、そんな不随意の運動を繰り返す球磨の体も、限界が近いということなのだろう。 いまや球磨は、俺の手が触れるすべての箇所にこらえがたい快楽を感じるのか、 そのたびにお腹を押すと鳴き出す人形みたいに、切ない吐息まじりの声を上げている。 球磨の反応が俺を昂ぶらせ、昂ぶった俺の動きが、また球磨から好い反応を引き出す。 まったく自然はなんて生き物に都合よく出来ているのだろう。 「いいんだ球磨っ……気にせず受け止めろ、それが、気持ちいいって、ことなんだからっ……!」 「く、んうぅっ……!! 提督は……提督も、気持ちがいいクマァ……っ!?」 「ああっ、すごく、いい……! でも、もうそろそろ……っ!!」 俺が最後のスパートに腰の動きを一段と早めると、球磨もそれに気づいた様子を見せる。 「ひ、ぁああっ……!! 提督っ……! 提督の子種っ、いっぱい、んうっ、球磨の中に……ほしいクマァっ……!! 球磨に子供、作らせてほしいクマっ、あ、ああぁ……っっ!!」 「わかってる、球磨っ……! たくさん作るぞ……っ!! 俺の、俺の子供を生んでくれ、球磨ッ……!!」 「クマぁぁっ……あ、や、ぁん……んっ~~~ぁぁあああっっ!!!!」 球磨がひときわ大きな声を出したかと思うと、背中を反らせて全身を大きく震わせた。 同時にきゅうっと締め付けを強くする蜜壷と、タガが外れたような球磨の乱れっぷりに、俺も完全に余裕を失う。 数回、きつく締め上げる球磨のナカに突き入れた後、最も深くに至った瞬間に、痺れるような快感が腰に走り、とうとう限界を迎えた。 どぷどぷと、球磨の最奥へと思う存分、精を叩きつける。それを待ち望んでいたかのように、球磨の内壁も合わせて動く。 蠕動する蜜壷にきゅうきゅうと揉みしだかれながら、最後の一滴まで搾りとられ球磨に捧げる快楽を俺は味わった。 *** 恍惚をしばし味わいながら、球磨の上に折り重なるように倒れ込む。 隣に横たわる球磨も、深い快楽を感じているような蕩けた顔をしている。 見つめると少し照れたように笑った。 「ふぅ、んっ……提督の、あったかいのが、今度こそじんわりお腹の中に、広がってるクマァ……」 そう言う球磨の様子は、本当にお腹に子供を抱えた生き物のように、おごそかで安らかだ。 引き抜いた後の縦筋からは、わずかに白い液が滴っている。 まるでほつれた縫い目から綿いっぱいの愛を溢れさせるぬいぐるみだった。 まあこうして激しい動きもしなければ、俺の出したモノも無駄になることはないだろうからいいか、なんて思った瞬間。 「ふっふっふ~。提督も、がんばったクマァ、えらかったクマー。クマクマァ♥」 などと連呼されつつ、頭を胸のところに抱かれ、撫でられてしまう。 ……やっぱり球磨は元気である。 俺のしたことと言えば、ほとんど気持ちよさに任せて腰を振ったことにすぎないと思うのだが、 何だかそんな風に球磨にほめられると、自分でも本当に、何かを成し遂げたような気さえした。 そして二回続けて果てたことの疲れもあってか、なんとなく球磨に抱かれるこの体勢に落ち着いてしまう。 「なぁ、球磨」 「クマクマ?」 「その、なんだ……こうしてつがいになったからにはさ、俺も男として頑張るよ。 お前の夫の役目も果たすし、子供が生まれてきたら、ちゃんとした親になる覚悟がある……だから、その……」 両手で球磨の背中をぎゅっと抱き、球磨に身を寄せる。お気に入りのぬいぐるみを抱く子供のように。 球磨の頭と胸の間。球磨の吐息を頭の上で、球磨の鼓動を間近で感じられる、安らぎの場所へと顔をうずめてみる。 「あと少しだけ、球磨に甘えさせてくれ」 「ふふふ~ん。お安い御用クマー」 そう言って球磨が、二人の体がぴったり一つにくっつくぐらいに、強い力で抱き寄せてくれる。 こうすれば二人の体温の間にはすきま風すら通ることなく、やがて寝床の中はぬくぬくした熱で満たされるだろう。 二人の巣になったこの穴蔵の外では、雨がしとしと降っている気配がした。 その他には、球磨と俺の吐息、球磨と俺の心音だけ。あとは、何の音もない。 もしかしたら球磨と俺、二人の他は、誰ももう世界には残っていないような気さえした。 けれどそんな二人の間にも、いつか新しい生命の灯火が宿るのであり。 そして何より。俺は。 「……クマ~……クマ~……」 スピースピー、と。 いつの間にか眠りについた球磨の吐息と鼓動と体温を間近に感じつつ。 たとえこれが世界の終わりでも、球磨の腕の中に抱かれながら、俺は今例えようのないぐらい幸せなのだった。 (了) +後書き 78 :3-91:2014/04/22(火) 01 41 53.94 ID wHbOr9s/ 「球磨のセリフからクマの語尾を取るとすごくカッコいい」との話を聞いて以来、自分の中ではすっかり 『球磨=お姉ちゃん=甘えさせてくれそう』のイメージです。もちろん愛玩動物なクマーも好きだけど。モコモコボンボン! イベントで資源がボロボロになってしまったらぜひ艦娘にたっぷり甘やかされたいものです ちなみにこの話の後は、世界中で人類と艦娘のハーフが生まれて深海棲艦と対話が可能になり滅茶苦茶和解した とかそんなご都合主義ハッピーエンド では長文失礼しました
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824 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 32 31 ID WPQREMKw 二章 1 暦の上では秋にもなれど、赤トンボが飛ぶわけでもなく椛が色付くわけでもなく、早秋とは名ばかりに、海面は未だぎらつく太陽に 焦がされ続けていた。滲む汗は珠となり、いつかはつぅと滑り落ちる。それが上着の肩口に吸着すると、接着剤のように皮膚と肌とを 張り付け始める。不快な感触に、だがもうすぐそれも終わると胸の中で唱えれば、幾らか気分はましになるのだった。 北方海域への遠征任務。航空機輸送の報酬として鋼材とボーキサイトを受領するその作戦は、丁度往路の半分にまで差し掛かったと ころである。祥鳳を旗艦とする軽空母三隻(此れを特務臨時編成航空戦隊)護衛の駆逐艦三隻(此れを特務護衛駆逐隊)それらを纏め て『第三特務臨時編成艦隊』は、茹った海に波紋を刻みながら粛々とと航行していた。 睦月型三隻を率いるように鳳翔が先導し、後方警戒には龍驤、祥鳳がついていた。空に木霊する駆逐艦の姦しい声は、鳳翔によって やんわりと包み込まれていた。それは窘めているのではなく、ただその煩い会話がきちんと管理されているという風である。彼女の持 つ天性の母性が駆逐艦達の喧しい声を、それでも煩過ぎることにはしていなかったのだった。 残された年長組二人は、実に気楽なものである。和気藹々とした朗らかな雰囲気に、だが片一方祥鳳だけは取りこぼされたかのよう に物憂げだった。 龍驤との会話に返事はする。その話の内容もきちんと理解はしている。別段心ここにあらずといったことではなく、ただわだかまる 憂鬱が気を萎えさせていた。 看破されることはないだろうと高を括っていた。今の自身を客観視する分には、どこにも異常はないはずだと思われた。そう思った 矢先にしかし、突飛に放たれた龍驤の一言はその考え全てを否定した。 「なんや、うち小難しい話しとるつもりないんやけど」 会話の最中に脈絡なく、ふとしたら聞き逃してしまうような自然さ。思わず顔を向けてみれば、訝しげに眇めた眼がちくりと刺すよ うな視線を送っていた。 祥鳳の失敗だったのはその後何も言い返すこともできず、息を詰まらせてしまったことであった。取り繕わなかったということが、 まさしく肯定の返事そのものである。すかさずに龍驤は追撃の次手を口にする。 「こないなしちめんどくさい遠征任務なんやからおもろい話があるなら出し惜しみせんでほしいんやけど。……提督やろか? 原因 は」 825 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 32 50 ID WPQREMKw 果たして図星の真ん中をつかれ、祥鳳の反応は分かり易さの極みである。「そんなんじゃない」と「ちがう」を壊れたように繰り返 し、頭の飛んでいきそうなほどかぶりを振る。けらけらと笑い続ける龍驤は、得心いった様子で先を続けた。 「ええでええで、隠さんでも。きょうび提督は大鳳にぞっこんやからなぁ。寂しくなるのもようわかるで」 「ほんとに違うんだから!」 「まぁ予想の範囲ではあったけどね。キミ分かりやすいからなぁ」 流石に、過去の関係のことまでは漏洩していないようだった。そこに安堵を覚えつつ、しかし龍驤の言葉は本質を悉く突いていた。 即ち、提督と大鳳の様子が視界に入ると、それだけでもう面白くないのである。この遠征任務の通達、つい二時間ほど前のことであ ったが、当然執務机に腰掛ける彼の隣には、あの秘書艦の姿があった。 以前は自身のものであった役職に他人が収まっている様子。それを受け入れるには、未だ整理というものが終わっていなかった。自 分から去っておきながらと、何も弁明しない決意をしておきながらと。自嘲は重ね重ね、だが勝手な感情は際限なく胸の内をのた打ち 回る。惰弱で幼稚で惨めであった。そういった自覚が、より一層彼女を病ませていた。 祥鳳は消化しきれない思いを抱き続け、今この時でさえ彼らの様子を気にしているのである。まさかまだ進展と呼べるような事は起 こっていないはずだと、妄想と焦燥に頭を疼かせ、兎にも角にもいち早く帰りたかった。 「まぁあの提督は色恋に興味無いやろうから、当分心配は無いんやない? あの子も仮に気があったとして、どう見ても晩生やから なぁ」 彼女が悪気無しに放ったこの慰めの言葉に、息の詰まる感じがした。彼は色恋に興味は無い。その一文が、心内でしつこく反芻される。 まさしくそれが、その思い込みこそ祥鳳の決意の源泉だった。自身が他の娘とは違うという確証を得る事ができないでいた事。たと え同衾したとて、夜が明ければ他の娘との区別はない。秘匿が完璧であったからこそ、恋人である意義も薄れていたように思えたのだ。 嫉妬ではなく、不信。普通以上のことを求めた故の破局だった。自身が特別だという確証が、そんな何をどうやっても得られないよ うな代物が欲しくて仕様がなくなった。その自分勝手な驕慢さへの自覚から、提督に苦しみを告白することもできなかった。そして挙 句、精神的な破裂を感じ取ったその日に、彼女は別れを告げたのだ。 今、当時の胃を痛くしながらの心配が杞憂に終わった。大鳳の様子を見れば、あの時の自分が周りからはどう見られていたか、推し て知るべしである。特別な場所にいた事を知らなかった愚鈍さが、悔悟となって嫉妬へ変わる。 水面の波紋を消す術は、唯一つ待つことだけである。心内のざわつきは、未だ留まることを知らなかった。 826 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 38 07 ID WPQREMKw 2 遠征に空母が必要となれば、必然的に祥鳳を組み込まざるを得なくなる。つい何時間か前、この執務室には彼女がやって来て、もう それだけで提督はこの上ないほどの憂鬱に苛まれていた。 吐き出される溜息は際限なく、肺の奥底から湧き出している。これでは良くないと自身の仕事に傾注するも、そこに並ぶ事柄に愉快 なものなどある訳がない。先に送付した支給資材上限拡張の依頼書が、慇懃な“お断り”と共に返送されたのを視界に入れ、遂に彼は 机に伸び伏せた。 「えっと、何かお茶でも入れてきましょうか?」 何回聞いたかも分からない大仰な溜息に被せ、大鳳はおずおずとそう聞いた。気遣う顔つきをしながらも、決して提督の方を見よう とはしていなかった。書類の淵を指でなぞりながら、几帳面にその線を合わせている。時折落ちてこようとする髪の一束を、指で掬い 取っては耳に掛けていた。 実を言うならば、この艦娘の態度そのものにも、いくらか煩わしさを感じている提督である。樽俎、と言うには余りに煌びやかさが 足りなかったが、あの酒の席以来、彼女の提督に対する素振りは露骨に変わった。 具体的には、視線を合わせなくなった。別段、今まで顔を突き合わせて会話したことなど一度もなかったが、普段の生活の中でふと 目が合いそうになるだけで、仰々しく不自然に顔を背けるのである。見せ付ける為にわざとやっているのだとしたら何とも腹立たしい 事この上ないのだが、しかし当の彼女を観察すれば悪意というか、下心に基づいた行動ではないらしい。腹の色が淀んでいないのは彼 女の美点でもあるが、だからこそ接する方としては、厭に気を使ってしまう。 この執務室にやたら長く居座ろうともしだした。業務の終わった後、何かと話題を見つけては、ずっと側を離れないのだ。恐らくは 再びの酒宴を待ち望んでいるのだろうが、生憎尻尾を振ってる様を見せ付けられると意地の悪くなる彼の性癖。就寝時刻が遅くなる苛々 も相俟って、願望を叶える気は絶無となっていた。 兎に角、気に入らなかった。一挙一動が悪意の針となって、脳みそをつついているのだった。 嫌悪の削ぎ落ちた煩わしさである。まさしくそれを部屋中に振りまかれているから、どうにも鼻について仕方ないのだ。 「あの、提督?」 不安げな声音が、静けさに圧迫された鼓膜を撫でた。体は起こさず顔だけ大鳳の方へ向けてみると、不安げに揺れた瞳が視界の中央 に鎮座した。勿論、ただの一瞬で目は逸らされ、後には視線の紡いだ糸らしきものの残滓が、眉間に感じられるだけになった。 827 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 38 38 ID WPQREMKw 胸の内で散々悪態をついてみる。お前は少女漫画のヒロインか。無自覚なあざとさの、どれだけ煩わしいかを知っているのか。そう いう態度は同姓から一番に嫌われるぞ、等々。 じっと横顔を見つめ続けていると、ほんの少しだけ瞳の見ることのできる瞬間がある。大鳳はちらりと提督へ眼を向けては、慌てて 逸らすのを繰り返していた。 「飯、食いに行かないか」 姿勢をそのまま、彼は口だけ動かしてそう言った。空調の音に紛れてしまいそうなほど、弱く覇気の無い声音であったが、大鳳はすか さずに反応を寄こし、 「え?」 首を傾け、そう聞き返す。 「飯食いに行こう。腹減った」 視線がしっかりと交錯したことに満足を覚えながら、彼は腕立て伏せをするような格好で体を起こした。膝裏で椅子を押しのけ立ち 上がり、欠伸をしながら伸びもする。 戸惑う彼女は、外出の準備をし始めた彼の周りを、おろおろとうろついているだけであった。ものの一分で支度を終えた提督は、一 旦の制止を呼びかける大鳳を無視し、そのまま出口へと向かっていった。 もちろん執務中の外出は、原則禁止されていた。しかも彼は見るからにこの鎮守府の敷地外にまで出ようとしている様子。秘書であ る所の大鳳がこれを看過できる訳は無かったのだった。 とうとう扉が開かれて、その足は廊下へと伸びていった。執務室に留まり、 「わ、私は行きませんからね」 そう言ってみても、彼の歩みは止まらない。酷薄な態度に苛立ちは募り、このまま一人で行かせればいいんだわと心内で愚痴を零す。 だが、こちらは何も悪くないのに、大人気なく駄々をこねた風な状況になっているというのも癪に障り、結局は彼を追うこととした。 提督は気障ったらしく、壁に背を付け待っていた。 「戻ってください」 幾らそう繰り返したとて何も反応は返されず、小言は孤独にただ廊下をひた走っていた。見えない磁力に引っ張られるようにして、吐 き出す言葉とは裏腹、彼の後ろから離れられなかった。 いよいよ玄関にまでたどり着く頃、彼女はもう沈黙してしまい、ただとぼとぼと金魚の糞をするだけになった。だがそれは決して精 神が諦観の域に達したのではない。むしろ、提督の暴走を止める事のできる防波堤をついぞ発見した為である。 鎮守府正門。その脅威の枢軸は、大仰で荘厳な鉄柵門そのものよりも、横にあるこじんまりとした警備常駐室である。そこには守衛 の妖精が、それこそ物の怪の類というのは決まって土着しているように、四六時中いつでも一人は居るのだった。 どうやら鎮守府の主が近づいてくるのを察したらしい。遠く小さい窓の向こう、一人の妖精が顔を覗かせた。 「やぁ、君。ちょっとお願いがあるんだけれど」 提督は警備室に近づくと、馴れ馴れしく小窓に顔を突き合わせて言った。一枚のガラス越し異様に接近した顔に、堪らず妖精は後ず さる。ファンシーな見た目とは裏腹、渋い声音の返答がある。 828 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 39 09 ID WPQREMKw 「仕事をおっぽり出してデートとは感心致しませなんだ」 「いやなに、甲斐性さ。ねぇ、ここを開けてくれ」 「さぼってもいいですが、人を巻き込むのはいただけませんな」 「まぁそう言うな。私は何も君にボランティアを強いているんじゃない。これは取引なんだよ」 提督は、細めた眼を横へと滑らす。相手の反応を楽しみにしている際の癖のようなものである。 彼が嗜虐への愉悦に造詣の深い事を、大鳳は身をもって知っていた。湧き出す危機感と焦燥、無意識の内に拳を握りしめ、祈るよう な心地に二人のやり取りを盗み見る。望み薄なのは重々分かった上、それでもこの妖精に屈強な精神力のあることを、望まずにはいら れなかった。 「君はたしか、今月の酒保の購入分が給料を上回っていたね」 妖精は堅く締まった表情を気丈にも維持しようとしていたが、生憎口角の吊りあがったことは一歩離れていた大鳳にも見て取れた。 「私たちがここを通り過ぎるのを見過ごしてしまったなら、私も君の酒保記録を誤って紛失してしまうかもしれない。仕事でミスす るのなんて、幾ら気をつけても起こるときは起こる物さ。ねぇ、どうだろう。君は、今日、少し仕事でミスをする。誰にも気付かれない 些細なミスだよ。そして私も、帰ってからミスをする。ね? いいだろ?」 果たして、きりきり音を立てながら開いてゆく門である。恨めしい視線から逃れるように、妖精は部屋の奥へと姿を消した。 アスファルトの発する熱が、靴越しに足の裏を焦がしている。歩くだけで汗の止まらない厳しい残暑だが、肌に感じられる海風は幾 らか乾いてもいた。そう遠くない秋の予感が、過ぎた日々を意識させた。 海鳥の舞踏を横目に見ながら、提督はかつての恋路を思い出した。海軍兵学校時代、初めてできた恋人との睦みである。 丸顔でよく笑う、気の置けない娘であった。ロマン・ロランであったか。恋愛的友情は恋愛よりも美しいと言うが、あの娘との関係は 友情に限りなく接近していたように思う。 様々な所に遊びに行った。暇さえあれば常に一緒だった。往来で手を繋いでいたのを見咎められた事もある。だがキスをしたのは一 度、体を重ねたのも一度きり。祥鳳とは真逆の方向性において、育まれた恋慕であった。 横須賀の街の細部を知り得たのも、彼女と遊び練り歩いたおかげである。今、大鳳を連れて外へ出たのは、きっと無意識にその初恋 を追い求めているからであろう。祥鳳への当て付けとして、懐古に楽しさを再現しようとしている。 下種な事をしているという自覚はあった。大鳳が自身を慕ってくれているということを、知った上で、その純真を踏みにじっているの だ。寂しさを紛らわせるためだけに、想いを利用している。苛立たしげなのを装い、しかし瞳からは隠しきれない期待があふれ出して いる。この娘のあどけない純真、白壁に爪を立てる心地だった。 七百メートルは歩いた後、デフォルメされたマグロの看板を掲げる、一軒の寿司屋が見て取れた。学生の頃、その彼女とよく昼を食 べに行っていた店である。ムードも何も無い所であるが、だからこそあの時の二人には都合が良かった。安く、気軽で、高尚じゃない ことが至上の価値だと、斜に構える時代には思えるものなのである。 829 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 39 52 ID WPQREMKw 横滑りの戸を開けると、中はまばらな賑わい。昼時というには少し遅い時分であるから、繁盛していないという訳ではないだろう。レ ジに立っていた年増の女給は、提督の姿を見るなり、 「あら、お久しぶりね」 「うん。久しぶり」 「お二人? もしかして新しい……」 「違うよ。さぼりできているんだ。内密に頼むよ」 「まぁ、べつに言いふらしたりしないけど、あなたはいいとして後ろのお嬢さんの格好は中々目立つわね」 口を開くのも億劫になり、むっつり黙って提督に続いていた大鳳は、その言葉を聞き、途端羞恥に駆られた。鎮守府ではより露出の 多い艦娘が跋扈しているために、自身の服飾デザインの大胆さには気が付かなかったのだ。大きく開いた脇や短いスカートに、何とも心 細い感じを抱き、しかし露骨に腕で隠そうとすればそれはそれで恥ずかしい。 ぼっと頬を染めた彼女を見、女給はにたついた笑顔になる。 「なら二階を使っていいわよ。特別にね」 「ありがとう」 提督は慣れた様子で、レジ奥に伸びる階段へと向かった。 六畳一間、ぽつねんと机の置かれた畳の部屋である。メニュー表のある所を見るに、特殊な客を匿う事など日常茶飯事であるようで あった。 腹を膨れさせれば機嫌も直るだろうという提督の予想は、果たしてまったく正解であった。むっつりと黙ったままであった大鳳は、 しかし満腹の幸福を隠しおおせるほど器用な娘ではない。 この店で昼時に最も人気なのは、六百五十円の海鮮丼である。日毎に余りそうなネタで作るそれは、日替わりなのは当然として机に 置かれるまで何が入っているのかも分からない。手頃な値段とこのマンネリの無いシステムが受けて、とりあえず迷ったらこれにしと こうというような、定番の地位にあるメニューである。 この丼をそれぞれ一つずつ、更に提督は追加して、小うどんと穴子、イカ、ハマチ、それから目に付いたオコゼなどという変り種の 握りを一つずつ。握りは一貫に二つ皿に載り、大鳳と分け合う形となったが、唯一オコゼだけは彼女が全てをたいらげた。 肝心の丼であるが、今日は運よく当たりの日であったらしい。ネタの種類、量は記憶にある中で最大級に豊富であり、多かった。 まず中央に艶やかなイクラ、その脇には大葉が敷かれ、わさびと極少量のツマが上に乗る。放射状に外へと伸びる刺身は薔薇の大輪 のようであった。透き通った油が蛍光灯を反射していた。マグロは赤味とトロが同等量。主役たらんと白米を覆い隠し、補色のアジが 脇を支えている。良く見ればネギトロによる小皿の上、凝った造詣のイカが、良家の娘の髪飾りが如く置かれている。提督にはそれが つつましく、含羞の表情をしている風に思われた。 飾りの菊がさり気ないコントラストであった。丼ものの多くにありがちな、白米の量が多すぎて余るという事は起きず、ぴったりと 同時に胃に収まった。食後に茶を啜りつつ、機嫌の回復した彼女は気に掛かっていた疑問を口にする。 「前にも、ここに来たことがあるの?」 言外に問われている事が何なのかを察知し、提督は逡巡した。正直に答えたところで特に不都合は無いらしいことが分かると、ようや く遅れて返答する。湯飲みに手を伸ばし、この開いた間は特に不自然な風にもならなかった。 830 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 40 13 ID WPQREMKw 「鎮守府に着任してからは初めて」 聞き、大鳳は理由無き嬉しさに微笑した。 つまり、以前の秘書艦は連れられて外出する事をしなかった。頭の中に浮かんでいた祥鳳の影は霧散して、遂には一、二時間程前の 自身の生真面目ささえなくなったようだ。ついてきてよかったと心の中で独り言ち、表情が緩んでいることにも気が付かない様子。そ うしてうとうと睡眠欲の出始めた頃合、まさか心地よく昼寝する訳にもいかない。多少の倦怠を我慢しつつ、席を立ち、店を出た。 鎮守府正門妖精詰所。悪魔の取引に矜持を投げ打ったあの妖精は、陽気な声音の会話を耳に捉えると、ただ押し黙って門を開けた。 そうして彼らがくぐる前に部屋奥の暗がりに身を隠し、気配を完全に消失させる。味方であったはずの大鳳は、すでに篭絡されている。 最早この妖精の行動に同情を示す者は無く、談笑の種として消化されるのみであった。忌々しさに握られた拳が、閉と書かれた緑のボタ ンを叩く音を、果たして気に留めた者はいない。 やがて提督は、執務室前にまで辿り着き勢い良く戸を開けた、その瞬間である。散歩の心地よい疲れが、安堵の途端に表層へ顕れ、 気の弛ぶほんの一瞬に、彼女が視界に映り込んだ。 意想外な事は、大抵罰の当たったと思えるような状況下にて発生する。何時だかに聞いたこの言葉が記憶の底から引き摺りあがった。 直面した状況が、無意識に思考を逃避させるほどの衝撃を孕んでいた。 驚懼に瞼が震え、目の前に認めた彼女、祥鳳の姿は、おぼろげに霞んだようだった。 「……提督、あの。波の良かったおかげで予定より早く遠征が終わって……その報告を、えっと」 目を逸らし、途切れ途切れ言葉を選びながら彼女は言う。今、両者、脳内に遠征についての思考はない。そして、状況の理解につい ては提督の刹那の知覚が悉くを当てている。 彼と大鳳が二人で外に出ていた事について、それを認めての猛烈な感情の濁流に、祥鳳は眩暈を感じるほどである。晩生、と龍驤は評 した。それに安心を感じていた。報告のためこの部屋に立ち入り、しかし二人そろって姿は無く、焦燥と不安の疑心がわだかまった。 待機する事、既に一刻。最早弁明もできやすまい。否、弁明する気さえも起きないのだろう。怒りか、虚しさか。わだかまりはその 中間点のものに変化をし、伸展留まりもしない。 提督は、彼女の胸中に増大する黒い物を察知している。決して誤解だとは言えないが、意味する所についてはまったく違う。乖離し てゆく想いが目に見えるようで、もどかしく苦しかった。 「あとで資材の増量を確認してください」 「……あぁ。ありがとう」 表面上、何も無かったかのような、至極何時も通りのやり取り。どこかぎこちなく感じられる動きで、祥鳳は提督の横を通り過ぎ、 早足に執務室を後にした。 大鳳は両者の仔細な顔つきを見た。かつて抱いた疑念、恋の暗香が再び鼻につく。気のせいだと断じるには、部屋の空気が、或いは 今目の前にする彼の雰囲気が余りにも気まずさに包まれている。 午後の長閑は一瞬にして崩れた。 831 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 43 52 ID WPQREMKw 3 外出は萎えた気分を立て直すためであったのだが、しかし現状彼の憂鬱はより一層酷くなっている。集中は途切れ、自己弁護と弁解 の言葉が頭を馳騁し、書類や事務的な懸念に思考を割く余裕は無かった。 海の暗黒に航空誘導灯の赤が差し込む。窓からの景色を漫然と見ていた提督は、大鳳に肩を叩かれ我に帰った。 「ここ、記入漏れです」 その言葉と共に、視界には幾枚かの書類と、それを摘む大鳳の細い指が映り込む。午後、仕事を再開してより既に五回目のミスである。 この一時だけで、この鎮守府着任以来の緩怠の総数は二倍に増えた。自身の貧弱なメンタルが情けなく思え、しかもそれがよりにも よって大鳳に咎められるのである。彼女の怪訝な、それでいてどこか憐憫も滲んでいるような視線に、屈辱の怒りが腹底より湧き出す。 そしてとうとう煮えた感情の我慢できなくなる一瞬、提督は欝々しく立ち上がった。 「あの、どこへ?」 「トイレ」 言い捨てて、早足に執務室を出る。 行く当ても無く、ただ感情の昂ぶった衝動が足をせわしなく動かしていた。勿論、厠などに行く気はない。ただあの空間にいるのが 苦痛でならないだけである。どこか遠くへ、大鳳のほんの少しの気配も感じられない所へと、独り物寂しい廊下を突き進んだ。 腹内に抱える原理が同じならば、行動が似るのも当然なのだろう。彼はやがて正面玄関にまで辿り着き、そのまま靴を履いて外へと 向かった。意識の下で、祥鳳の影を追い求める自身というものが、足先の指す方向を定めたらしかった。 昼間蓄えられた日の温かみは既に無く、ひんやりとした肌寒い空気に露出した首が鳥肌立つ。時折夜空を仰ぎ見ながら岸壁沿いに歩 を進め、海風を浴びる。肺腑が淀みのない空気に洗浄されて、熱くなった頭は徐々に冷静さを取り戻していった。 ふと、平常の中に佇むと湧き出してくる予感があった。確信に限界まで接近した直感らしきものである。何ヶ月もわだかまり、まる で腐ったようにもなっている胸中の疑問が、喉元近くにまで競りあがった。情動の高鳴りが、センサーの如くその存在を知らせてくれ るのだ。歩は速めず、驚くほど起伏の無い心緒のまま、彼は注意深くあたりを見渡した。 因縁の防波堤、黒い海へ突き出た姿がうっすら暗闇に顕れだした頃合。向こうからてくてくと歩いてくる、一人の女の姿が認められ た。予想が的中した事に薄寒さを覚える提督は、或いは彼女も同じような心境にあるかもしれないと思い至ると、その胸のうちに微笑 ましい、愉快な気持ちが沸きだすのを感じた。 「お前も、夜の散歩か?」 声の聞こえる距離にまで近づくと、彼はその娘、祥鳳に向かって声をかけた。 「はい」 「奇遇だね」 「そうですね」 互いに停止し、開いてしまった微妙な距離が、彼らの気まずさを無言のうちに表現している。 832 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 44 19 ID WPQREMKw 奇遇、と提督は言ったが、寧ろこの邂逅は、両者の意思の介在によってなされたものであった。実は冬以来、たびたびこの防波堤に足 を伸ばしている二人である。今まで鉢合わせにならなかったのは、巡り合わせの悪さもあるのだが、どこか望み通りの出会いを果たし た時への、恐怖があったのだった。相手が来るわけのない時間を選び取り、しかしもしかしたらと期待を胸に抱き続け、部屋に戻ると 運の無さを無念がる。 今日、二人は大鳳という一艦娘によって、恐怖を上回る欲求を得た。それが、いかにも偶然らしき巡りあわせに作用したのだ。 取りとめもない会話は、鎮守府玄関の見えるまで続いた。本題を放出する機会を伺う、その緊張感を保ったままのダイアローグにつ いては、記すにも及ばない。拮抗した実力を持つ武士が、両者決め手に欠ける状況下、型の決まった打ち合いをするようなものであっ た。 先に踏み込んだのは祥鳳である。 「最近大鳳さんと仲がいいみたいですね」 不気味なほどいつも通りな声音に、提督はすかさず反応した。 「別に、そんなことはないと思うが」 これもまた、平常どおり。彼女は聞くや目を眇め、忌々しげに口を閉ざした。 言動と反応を見て、寧ろ不満を抱えたのは提督である。なぜその立場にありながら、嫉妬を匂わす発言をするのか。彼女の身勝手と、 僅か期待を抱いてしまう自身の惰弱さに拳が震える。罵りの言葉が幾らも頭に沸いたが、どうにか何重にもオブラートに包んだ表現へ 変換して、生唾を飲み込んだ後それを口に出した。 「前から疑問があった」 「はい」 「なんでお前は、私をふったんだ」 提督は、自身の未練が醸し出されやしないかと危惧していた。何か下を見られるのは嫌であったし、感情はどうであれ理性の方では、 もう諦観を享受しているのである。 実際には、この言葉は彼の意図したものとは違う解釈をされた。彼は彼女が持つ未練について一切気が付いていなかったし、燻って いる情緒の本懐についても認知できている訳が無かったのだ。 即ち祥鳳は、彼が大鳳と恋仲になるために自身との関係を完全に切り離そうとしているのだと考えた。別れを切り出した理由を聞く 事によって、漫然としたつながりを断とうとしているのだと。 不服である。納得できるわけは無かった。未だ自分は引き摺っているというのに、彼は心に痛みを感じる事も無く鞍替えするのだ。 その怒りが、胸を焼き、目の前が真っ赤に染まったようだ。 嫉妬深い自身を自覚したのは、今この時が初めてであった。彼女は未知の、熱く暗い怒りの爆発を他人事のように感じていた。もう 一人の自分が、殺意の湧き出すのを一身に受け止める。宥める事は叶わず、とうとう獣の咆哮が如き、悪意と敵意の言が飛び出した。 「飽きたからです」 どうすれば相手を傷つける事ができるか。それだけを考え、ひねり出した答えである。執着や憎しみが事実を押し込め、意想外の事 を表に出した。果たして彼は目を瞠っている。その様子に溜飲下がる様な悦びを覚え、彼女は衝動のままに喉を振るわせる。 833 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 44 51 ID WPQREMKw 「逢えず話せずで、もういいかなって思ったんです。楽しいって思えることが少なかったし……。ごめんなさい。でももう時間も経 ったから言ってもいいですよね。未練なんて、あなたも無いでしょう?」 「……ああ。うん。そうか、聞けてよかった」 既に場所は、鎮守府の中である。互いにおやすみを言って、別れた。提督は失意によって、何も視界に入れることができなくなって いた。彼女の僅かに赤く腫れた眼や、握りこみ震える拳などにも、気が付くことはなかったのである。 ふらふらと覚束ない足取りで階段を昇り、壁にもたれながら廊下を進む。思考が放棄されたとき、人はなすべきことをなさねばなら ぬと、自身の任務に傾注する。提督も、意識の上に昇るのは仕事のことのみであった。 執務室の戸を開けると、頬を膨らました大鳳が見えた。 「もう、提督! どこに行っていたんですか」 快活な声に彼女は言い、彼の神経を逆撫でたのにも気が付かず言葉を続ける。 「休憩したいのなら言ってくれれば、私そこまで鬼じゃないわ」 「うん。ごめん」 許容の限界を超え、その為にか提督の外見は朗らかだった。詫びの笑顔に屈託はなく、大鳳は彼の不調を看破できなかった。 仕事の中断ついでにと、彼女は昼からのわだかまりを口にすることにした。外の空気を吸った事でリフレッシュもされて、機嫌もい いだろうから聞いてしまっても大丈夫だろう。そういった判断である。運の無さと感情の機微に疎い性質が、迫る最悪を知覚できなくさ せた。 「提督、そういえば昼の事なんですけど……」 「うん」 「祥鳳さんと提督って、昔なにかあったの?」 蓄積し続けた感情へ、重い撃鉄が振り下ろされた。一度引かれたトリッガーに、もう後戻りは許されない。彼女の声を端緒として、 提督は我に帰るような心地だった。 目の前の娘について、極限まで憎らしい存在だと思われた。糾弾し、矯正しなくてはならない。ただ胸の内に蠢く暴力性によって、 屈服させなければならない。散々痛めつけられた自身を、更に足蹴にしたこいつには、然るべき報いを受けさせなければならないのだ と、猛然と暗い感情が馳騁する。様々な要因にて溜まった鬱憤が、今一個人に向け晴らされようとしていた。 のしのしと無言に近づいてくる提督を見て、ようやく彼女は、地雷を踏み抜いたらしい事を自覚した。 「あの、提督?」 声をかけ、だが無視をされ、肌にぴりぴりと感じられる危機感は抱く信頼によって黙殺される。胸元に両手を置き、下から伺い見る。 その様子は、彼の嗜虐心を駆り立てた。 頤に指が這わされた。親指が唇を撫でた後、上向きに力が働いた。たまらず彼女は顎を上げ、まるで口を突き出すような格好になる。 834 :クズ ◆MUB36kYJUE:2014/07/06(日) 21 46 08 ID WPQREMKw キスされたことを認知したのは、かなり遅れてからだった。ただ目を見開いていただけだった彼女は、顔の間近に息づかいを感じて、 ようやく顔を朱に染める。しかしその段になっても未だ現実感は沸かず、何をどうすればいいのか検討もつかないのだった。 抵抗の少ない事を意外に思いつつ、提督はより深く彼女を求めだした。掌を顎間接の奥へ這わせ直し、強引に舌を差し込んでゆく。 強張り縮こまっているだけだった腕が、彼の胸板を叩いた。引き剥がそうと力を入れても、既に体は密着している。鍛錬の怠らない屈強 さを持ってしても、この状態にあっては体格差を覆せはしないのだった。くぐもる悲鳴を聞き、腰に回されていた提督の腕はより強く 彼女の体躯を引きつける。 小柄を自称する祥鳳よりも、更に小さく細い体である。比較をしながら、彼は確かめるような手付きで服越しの肌をなで始める。 そこにはしなやかさと強かさを両立した、合理的な美があった。柔らかくふくよかな、母性を感じさせるものではなく、だが故に、 寧ろ促される情欲もあるのだ。 腰骨の出っ張りを過ぎ、とうとう尻の膨らみへその手がかかる。腰まわりの引き締まりから、途端弾力のある部位に指が沈む。彼女 は背筋をびくつかせ、キスの合間に抗議の声を出した。舌の嬲られたままでは、到底言葉にもならないが、良く聞けば、どうやら謝り ますからと繰り返しているらしい。その余りに嗜虐のそそられる様、女性的柔らかさの欠ける者の女性的か弱さ。そういった背反が異 常の興奮を引き出すのだった。 臀部からは一旦手を離し、脇の開口部から覗く肋骨の窪みをなぞった。危うい所へ触れかける、そのスリルがこそばゆいのか、彼女 の悲鳴はより一層その音階を高くした。二本、三本と撫でるたび指はより奥深くへ進行し、遂に僅かな膨らみを登攀するにいたる。 口を離すと粘性の橋が両者の間に掛かる。それが自重で崩れる間の後、彼女の大きな瞳からは雫が零れた。 躊躇が生まれた。震盪によって機能のほとんどを失った頭が、提督の眼前に幻を見せる。祥鳳の泣き顔、そのリフレインによる胸の締 め付けが、一瞬の硬直を引き起こしたのだ。 隙をつき絡みつく腕をはらうと、大鳳は涙の流れるまま走り、執務室を飛び出した。嫌悪や怒りはなく、ただ驚懼による反射だった。 漫然としたショックに、心臓の跳ねる感じがしている。自身の荒れた息づかいや濡れた唇、掌の感触の残滓が、羞恥と寂寞の複雑に混ざ り合った感情を沸き立たせた。 開け放たれた戸を眺め、追い縋ることもせず、提督は立ち尽くしている。余りに感情が揺れ動きすぎた。その倦怠によって、もう何 も感じる事ができなくなったのだ。 祥鳳との記憶を掘り返し、俯瞰して無感動に眺め続ける。それだけであった。 <続く> これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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84 :名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 01 05 22.30 ID 1b33W5PM 曙「か、改装とかいって、私の裸が見たいだけなんでしょっ、このクソ提督!」 開口一番に曙は私に食って掛かる。 いつもの光景だが、今日はいつもとは少し違う。 先ほど自前で特別な護符を拵えたのだ。 特殊な術式によって相手の心が読めるというなんとも垂涎モノ・・・もとい、危険な代物である。 しかしやはりと言うべきか、使用条件がかなり限定的で、心を通わせていない者の心はあまりよく聞き取れない。 逆に言うとはっきり聞こえれば聞こえるほどお互いが信頼し合っている証拠となる。 そもそも何故このような護符を作ったかというと、深海棲艦の心を探るためなのだが、試験段階で上記のような致命的な欠点が見つかったために計画は白紙に戻っている。 改良も試みられたが、研究の結果それが不可能であることが分かった。 心のつながりのない者の心うちを知るには、精神破壊が必要だったのだ。 敵の心を知るためにその心を壊しては意味がない。 かといって信頼し合う仲になることは不可能だし、そんな仲になっていたらこんな戦闘は必要ないわけだ。 辛うじて読み取れたことは、「寒い、冷たい」という感情と強い憎しみだけだった。 この護符は凍結という決定がなされたが、当時の研究書は見ていたため呪印などすべて覚えている。 話がだいぶ脱線したが、つまり、いつも突っかかってくる曙は、果たして内心はどうなのか? と気になったという好奇心の元、この護符を発動させるに至ったというわけだ。 きっかけは曙のこの一言だった。 曙「気に入らないなら、外せば?」 そういう彼女の声は震え声だった。 あの時彼女はどんな気持ちだったのだろうか。 彼女に戦力外通知をした覚えはないし、彼女のミスを責めたことも一度もないのだが、知らず知らずに彼女を追い詰めていたのだろうか。 当然史実での彼女の不遇は承知している。 ふと、今の彼女の心が知りたくなった。 そして冒頭のセリフを言った後の声ははっきりとこう聞こえた。 曙「(ありがとってホントはいいたんだけどなぁ・・・)」 提督「ふむ・・・」 まさかここまではっきり聞こえるとは思わなかった。 かつて親に試した時でさえここまではっきりとは聞こえなかったように思う。 提督「そうか・・・。曙の今後の活躍に期待しているぞ。・・・」 曙「ふんっ!」 曙「(うれしい・・・///。絶対活躍してみせるわ!見てなさい!クソ提督♪)」 曙「私に十分感謝しなさい、このクソ提督♪」 曙「(すごいでしょ!?私がんばったよ!この勝利は敬愛する貴方へ捧げるわ!)」 先の作戦でMVPをかっさらった曙は、提督執務室のドアをドカンと開けると 頬を薄らと赤くさせて高らかに宣言した。 瞳はキラキラと輝き、こんなにはつらつとした彼女を見たのは初めてかもしれなかった。 ここ数日彼女と接してみて分かったことがある。 どうやら彼女は俗にいうツンデレのようだ、ということだ。 改修をすればするほど悪態をつくのだが、それは素直になれない彼女の照れ隠しだ。 髪が長くて維持が大変そうなのにずいぶんと綺麗だなと褒めたときなどは セクハラだと怒っていたが、心ではものすごく喜んでいた。 後日、さらに髪の美しさに磨きがかかり、いい香りまでするほどになっていた。 提督「じぃ~(やはり曙の髪は綺麗だなぁ・・・)」 日の光に照らされて艶やかな髪に視線を這わせる。 曙「何よ?こっち見んな!このクソ提督!」 曙「(見られると恥ずかしいのよ、ばかぁっ)」 提督「ふむ・・・」 ムクムクといたずら心が芽生え、曙のそばまで歩み寄る。 曙「何?何か用?」 曙「(近っ、近い近い!)」 そっぽを向いて不貞腐れた態度をとる曙だが、 何処となくソワソワしている。 提督「曙、MVPよくやってくれた。感謝している」なでなで 曙「なっ!?何で触るの!うざいったら!・・・・・・・・もう」 曙「(あ・・・うれしい!ホントはもっと撫でて欲しいけどこれ恥ずっ・・・///)」 さらに追い打ちをかけてみる。 提督「曙の髪はサラサラで心地よいな。心が落ち着くよ」なでなで 曙「し、仕方ないわね。ちょっとだけ・・・よ?」 提督「ありがとな・・・曙」なでなで 思わぬところで素直になった曙が意外だったが、 日頃戦いに出ている彼女を労わる気持ちでさらに撫でる。 曙「///」ムスー 曙「(ちょっとくらい・・・いい・・よね///)」 しばらく撫でていたのだが、居心地が悪いのかモゾモゾしだした曙の 上目づかいな視線と目が合わさる。 曙「あ・・・・」 曙「(提督の顔・・・近い。・・・・キス・・・とか。ね・・)」キュン 提督「・・・」なでなで・・・ぴた 顔を真っ赤にしてこちらを見上げる曙と、そのまっすぐな心の声に ドキっとして撫でる手を止めてしまった。 どうやらこの護符の効果は相手の感情に引っ張られるらしい。 そっと手を曙の頬に添える。 曙「ん・・・・」 目を閉じた曙のまつ毛は、小刻みに震えている。 綺麗なピンク色をした唇はキュッと閉じられ、 まるで侵入者を拒むかのようだ。 彼女の髪からふわっと心地よい香りが鼻をくすぐる。 提督「曙・・・・」 そっと腰に手を回して彼女を抱き寄せる。 少し前にかがんで彼女の唇に吸い寄せられるように顔を・・・。 バーーーン!! 島風「ていとくーーー ー!かけっこしよーーーー?」 曙・提督「!!」 突然やってきた島風に驚いた曙はパチっと目を開ける。 後数センチまでの距離だったため、見つめ合う格好になった。 曙「あ、あ、あ・・・」 どんどん涙目になっていく曙にどうしたものか、突然のことに頭が回らない。 島風「どうしたの?見つめ合っちゃって」 曙「わぁっ」ドン 提督「うわっとと」ぐいーーっ 曙・島風「きゃぁっ」どたんばたん 突然突き飛ばされたためバランスを崩し、咄嗟に伸ばした手で島風と曙を巻き込んで倒れ込んだ。 島風「痛たたた・・・。ていとくひどいよ!もう・・・。あ・・・!」 曙「んん・・ん・・・」 一緒に倒れ込んだ時に、幸か不幸か曙と先ほどの続きをすることとなった。 曙「んん!?んー!んーーっ!!・・・んはっ・・・はぁはぁ」 島風「ごめんね、上に乗っかっちゃってた」 曙「ッッ」 ガバっと起き上がると、曙は一目散に走り去っていってしまった。 提督「曙ッ!待っ・・・」 島風「おぅっ」ドターン 慌てて追いかけようと立ち上がったものの、島風の服のボタンと絡まってしまい島風を押し倒す格好になってしまう。 島風「ん・・・」 提督「・・・!!」 思い切り押し倒して口づけしてしまっていた。 島風「(あ・・・私、てーとくとキス・・・してる・・・)」 島風「んちゅっ・・てーとく・・・んふっ・・・」 島風「(てーとく・・・大好きだよ!)」 ドック帰りとはいえ戦闘後で高揚している島風は、切り替えが早く高まる気持ちを抑えきれずにしがみついてきた。(だいしゅきホールド) 護符の効果により島風の想いも強烈に流れ込んでくる。 さっき倒れた拍子に、右手は島風の胸の上にあり、ささやかながらもやわらかい弾力が指を押し上げてくる。 提督「島風・・・」 やさしく髪を梳いてやり、気持ちを落ち着かせてやる。 島風の目を覗き込み、愛おしむまなざしで語り掛ける。 提督「島風、俺もお前が好きだぞ。」 島風「てーとく・・・・」 すでに赤くなっていた島風の顔が、ポッとさらに赤くなる。 しかしそれは嬉しさ半分悔しさ半分である。 島風「・・・てーとく、ずるーい」 ぶぅ、と膨れる島風は、言葉にせずともこちらの心を読み取っていた。 おでこにキスをして島風から離れる。 島風「ぶーぶー」 島風「(絶対一番好きって言わせて見せるんだから!)」 不服そうな島風だったが内心は幸せいっぱい、残念がちょっとという感じだ。 口づけした唇をなぞり、キスされたおでこを触って見上げながら、にひひっと幸せが漏れていた。 島風「てーとくのことあきらめないんだからねっ!」 そう言い放ち、島風はパッと立ち上がったかと思うとあっという間に走り去ってしまった。 提督「・・・・やれやれ、どうしたものか」 あれはいずれ食われるな・・・(自分が)。覚悟をしておいた方がいいかもしれない。 そう思う提督だった。 島風の過去を視たときからどうも島風に懐かれてしまったのだが、まさかここまでの想いに膨れ上がっていようとは思いもしなかった。 護符がなくとも艦娘たちから好意の視線を感じていたが、やはりと言うべきか、いざ心を見てみるとこれでもかと情愛の念があふれていた。 嫌われていると思っていた曙ですらアレだったのだ。 他の艦も推して知るべし。 この護符について一つ分かったことがある。 心を通わせている者でも相手の心が読めない場合がある。 島風からは好きという感情が強すぎて他の心の声がかき消されていた。 どうやら伝えたいという気持ちが重要であるらしい。 ならば深海棲艦の伝えたかった事とはいったい何だったのだろうか・・・。 寒いといっていた彼女たちは何を想い、願っているのだろう。 彼女たちの魂を救いたいと、切に願わずにはいられなかった。 +後書き 90 :名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 01 13 40.56 ID 1b33W5PM 以上です。 ケッコンカッコカリがものすごい重婚状態のためこのような流れににに・・・ いつかの島風の続き物だけど何故か曙の話になった。 そして我が艦隊の曙は遠征組でそれほど活躍してないんだけど キラ付けのたびにつついてたらあの震え声が気になってSSにしてみた。 ちなみに我が鎮守府の秘書官は如月で、大井っちや北上さんなどなど何名か愛人枠にいます。 いずれ登場させたいなぁ
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343 :6-632:2014/02/07(金) 02 09 48.35 ID 3RjczXZM 「どういうことだ、クソじじいども」 俺は激怒した。艦娘の生存率ばかり気にしてまともな戦果が少ない俺の艦に “アレ”の装備を強制執行しようとしているらしい 『あの武器だけは、やっぱり載せないで』 『あぁ、絶対載せないさ。お前の頼みだからな』 恋人の、北上の願いを踏みにじる訳にはいかない。 俺は咄嗟に改装工廠へ走って行った 「やめてよ!やめて!!こんなの載せていいなんて言ってない!」 工廠に着くと北上が絶叫しながら“アレ”の装備を拒んでいる 「提督も、載せないって約束してくれたのに!なんでなのさ!」 どんなに北上が叫ぼうとも聞く耳を持たない工廠担当のクソじじい共 「俺は、北上への“アレ”の搭載は認めていないはずだが?」 工廠担当に問う。まぁ、答えは“予想通り”のものだったが・・・。 「大本営の決定です。少将の御意向は関係ありませぬ。少将が止めよと厳命されましても、大本営の命である以上実行します」 そう良いまるで卑猥な笑みを浮かべると、嫌がる北上に無理やり“アレ”を取り付ける アレを取り付けらたショックからか俺が止められなかったショックからか 北上はただポロポロと涙を流すだけだった。 俺は耐えられなかった だから、護身用の銃で工廠のクソじじいをぶち抜いてしまった。 「守も攻めるも黒鐡の浮かべる城ぞ頼みなる・・・」 ここに来てから何日立つのだろう。俺は何回“行進曲 軍艦”を口ずさんだんだろう あの日、工廠のじじいをぶち抜いたその後、憲兵にひっ捕らえられ、投獄された 当たり前と言えば当たり前の事ではあるのであるが 俺が投獄されてから、ずっと北上は俺の牢の前から動こうとしない 「北上・・・。いいかげん新しい司令の命令を聞いて出撃しろ。出ないとお前も」 俺は北上を諭す。新しい司令の命令無視を繰り返し俺の牢の前にずっといる いくら艦娘とて、命令無視と敵前逃亡で軍法会議にかけられれば処刑は避けられるであろう それは嫌だ。絶対に北上には生きていてほしい。 「アタシ、提督の命令じゃないと戦場に出たくない。新しい提督の命令無視して牢屋にいれられるなら、それで良い」 不安なのか、寂しいのか、それともこの牢が寒いからなのか北上が震えている 俺は毛布を手を出すのがやっとの大きさの鉄格子から北上に手渡した 「ありがとね、寒かったんだ・・・。でも寒いだけじゃないよ?」 北上の目にどんどん涙が浮かんでくる 「好きなのに、大好きなのに提督と手もつなげない、キスもできない、エッチだって」 北上が絞り出すように言う 「俺だって・・・」 そう言い、鉄格子から手を出し指を絡める。 「ほら、手ぐらいつなげるだろ?だから」 北上は力なくうなづいた。 そして、俺の牢の前から姿を消した 北上は毎日俺の牢まで来て色々な話をしてくれる 新しい提督は、艦娘の生存率よりも戦果を優先して皆嫌っていること 第六駆逐隊が疲弊していても、中破レベルの怪我をしていても進撃させること 北上いわく、新しい提督は駆逐艦は消耗品としてしか見ていないかもとの事 そして、そんな姿をみて心配してしまうからウザイとのことだった そんなたわいない会話をしているときだった 「ねぇ、提督・・・。シたい」 突然北上が行ってきた。 「あのさ、エッチはできなくてもこの鉄格子の大きさなら口ではできるでしょ」 そう言い、指を絡めてきた。 俺も投獄されてから満足にオナニーすらできず、かなり溜まっていた 俺は反り返った性器を鉄格子から北上に向けて突き出した 北上の口が俺のペニスを飲んでいく 亀頭を丁寧になめまわし、裏筋を刺激するように咥えながら舌を使ってくる 口内の温度と絶妙な舌技で、溜まりにたまった俺はあっけなく北上の口内へ 大量に射精してしまった。 「提督・・・。ごめんね」 そういうと、北上は突然下半身を露出させ果ててもなお大きさを保つ俺のペニスを 自分の性器にあてがった。 「アタシも欲しいよ。提督の、だから」 そう言いつつ、北上の性器は俺のペニスを飲み込んでいく。 しかし、鉄格子のせいで奥まで、根元まで入れることはできない。 sれでも俺は北上を満足させたい一心で、気持ちよくなりたい一心で小刻みに腰を動かした 牢獄に似合わない水音と北上の甘い声 「提督・・。奥まで欲しい、無理なのは解ってる。でも奥まで」 「ごめん、俺も北上の奥まで入れたい。もっと深く愛したいでも」 北上と俺の間をふさぐ鉄格子が憎い そんな状態でも「大好きだよ提督」と何回も何十回も言ってくれる北上に愛しさを感じつつ 二回目の射精を迎えようとしていた 「北上、俺」 「うん、提督のちょうだい、アタシも一緒に」 その言葉を聞き北上の中に今まで以上に射精した。 行為を終え服を整えた後に普通の恋人同士ならキスをするのが定番だろうが 鉄格子が有るがゆえに、互いの指を絡ませた 北上と数日振りに交わった夜の事だった 『司令官・・・。もっと私を頼ってくれてもいいのよ』 「ん?なんだ雷まで来てくれたのか」 『そんなんじゃ、ダメよ!』 「まぁ、俺がやったことだしな。良くて一生このまま、悪くても銃殺だろ?」 たわいない会話に思えた。唯一違和感を感じた所は・・・・。 会話していたはずの雷が帰る時に、光に包まれながら消えて行ったことだ 嫌な予感はしていた 次の日、俺の牢の前に現れた北上の表情はいつもにまして硬かった 「あの、新しい提督さやっぱり駆逐艦の事何とも思ってないんだよね」 第一声がそれだった 「雷が沈んだのか?」 北上は驚いた表情でなぜ知っているのかと尋ねた 「実はあの後な、雷が俺の牢まで来てな。最後に歩いて帰らずにスーっと消えちまったんだ」 夢枕に立ったと表現しても良いだろう。 北上情報によれは、俺の代わりの提督は功を焦るばかり、複数の駆逐艦の傷を放置 そのまま進撃させそのまま沈めたそうだ それに金剛姉妹、加賀、北上をはじめとする軽巡・雷巡が不信感と怒りを露わにしていると の事だった。 無論命令違反も そこがターニングポイントになってしまった 翌々日俺の軍法会議 裁判は5分もかからず俺の死刑が確定した その日がやってきてしまった 俺は目に白布を掛けられ、椅子に座らされ、手足を縛られている 海軍ご自慢の銃殺刑という訳だ 執行役が到着するが様子がおかしい 「アタシがなんで提督を殺さなきゃいけないのさ!」 軍上層部は“命令違反・軍規違反”を繰り返す元俺の艦娘達への見せしめのためにも 北上を執行人に指名したのだ どこまで腐敗してやがるのか底が見えない状態だ 「北上!俺の最期の命令だ!この命令に従え!絶対だ」 俺は声を張り上げた、 北上の声にならない叫び、これが最期に聞いた「音」だった *************************************************************** アタシは恋人を殺した。 もう何もかもわからない どうして“アレ”を載せておけばよかったの? 何でアタシなの? もう嫌、なんでアタシばっかり ********************************************************** アタシはろくに入渠もせずにこの作戦に従事している 大好きだった人の後任の提督はまさにクソ提督と言う奴で本当にウザイ アタシは満身創痍。もう2・3発食らったら沈みそう いや、本当は沈みたいから入渠していなんだ。 秘密裡にイムヤにお願いしてあるんだ。アタシが沈んだら取り合えず陸まで運んでって 木曾にお願いしてあるんだイムヤがアタシを陸に上げたらあの人と一緒のところに埋めて欲しいって 「帰投せよ、帰投せよ」 何か聞こえたけど、気にしない。さて前進しますか あ、ヤバいフラグシップの戦艦が居る。 直撃コースだこれ・・・・。 ねぇ、あっちの世界でも会えるよね・・・。アタシの大好きな提督 **************************************************************** 木曾は死者を冒涜するのは嫌いだがと前置きをしつつ、 元上司である提督の墓を掘り起こした。もう既に数か月が経過しており 亡骸は骨だけになってしまっているが、その骨に寄り添うように北上を安置した 最期の手向けと言わんばかりに、冷たくなった北上の手をそっと骨の上に置いた 見間違えかもしれないが、一瞬北上が微笑んだように見えた “あの世”で二人が再会し、仲睦まじく永遠の愛を誓えることを祈り 土をかぶせた +後書き 348 :6-632:2014/02/07(金) 03 12 30.55 ID 3RjczXZM 以上胸糞悪い作品おわり ちなみに、雷の描写は実際に駆逐艦雷が轟沈した夜工藤艦長の元に 部下だった乗組員が枕元に立ち、艦長!艦長!と言いながら消えて行った話を ベースにしてみました 次は誰か孕ませるかまたシリアス系にするか思考中です 349 :名無しさん@ピンキー:2014/02/07(金) 03 15 07.90 ID BUVFWGbX 343 北上がアレのせたくないのは命の重さを知ってるからなのに 提督があっさりと殺しちゃだめだよね 案の定BADENDまっしぐら・・・ もしその状況で最善の手があったとしたら 後任が酷い作戦実行するような息のかかった奴が送られてくるの予想できるんだし 提督は退任させられないように適度に戦果挙げつつ 最小限の犠牲になるようにするしかなさそうだな たとえ最小限とはいえ犠牲を出す作戦で艦娘たちに嫌われたとしても 自分も紳士スレに北上にアレ強引に乗せる小ネタ書いたんだが結末が違いすぎてびっくりしたw